#刑事の娘はなにしてる?第14回

「座って。ミミちゃんに会にきたんだろう?」
 三宅が朝陽の肩を掴んだ。
「は、離してください!」
 朝陽は逃れようとしたが、三宅の手は肩を掴んで離さなかった。
「やめてください! 大声を出しますよ!」
 朝陽は、涙目で三宅を睨みつけた。
 膝がガクガクと震え、立っているのがやっとだった。
「好きにすればいいさ。店は休みにしてるから、誰もこないしね」
 三宅が、ニヤニヤしながら言った。
「誰もこないって......ミミがくるんじゃないんですか!?」
「ミミちゃん? なんのこと?」
 三宅がシラを切った。
「えっ......騙したんですか!?」
 震えた掠(かす)れ声で、朝陽は言った。
「いま頃わかった? 最初から、若葉ちゃんとエッチしようと思ってここに連れてきたんだよ。とりあえず、チュウしよう」
 三宅の顔が、近づいてきた。
「やめて!」
 朝陽は三宅の頬を平手打ちした。
「痛っ......僕をぶったね?」
 三宅の血相が変わり、眼尻が吊り上がった。
 頬に衝撃――目の前が白く染まった。
 気づいたら朝陽は、ソファの上に倒れていた。
「暴れないように押さえておけよ!」
 三宅に命じられた秀が、朝陽を羽交い締めにした。
「いやっ......こないで! あっちに行って!」
 朝陽は声を嗄(か)らして叫んだ。
「ピチピチピーチメノマエアルノニタベナイバカガドコニイル! イェア~」
 ラップ調に韻を踏みながら、三宅が朝陽のブラウスのボタンを引き千切った――露わになったブラジャーを剥ぎ取った。
「ビニューニチェリーヒデキカンゲキ! オットトシガバレチマウオレハティーンノヒップホッパー!」
 三宅が朝陽の胸を揉み、乳首を舐めてきた。
 朝陽の全身に鳥肌が立った。
「いやっ、いやーっ!」
 朝陽は声のかぎりに叫びながら、足で宙を蹴った。
 上半身は秀に拘束されて動かなかった。
 朝陽の首筋に、冷たいものが押し当てられた。
「ナイフだよ。少しでも動いたら刺すから。おとなしくしたほうがいいよ」
 秀が耳元で囁(ささや)いた。
 朝陽の全身を巡る血液が氷結し、身体が石のように固まった。
「やっぱり、十代のおっぱいはゴムみたいに弾力があって最高! 乳首も桜色で乳輪がちっちゃくて最高!」
 三宅が喜色満面で言いながら、朝陽の胸を揉みしだき、乳首を吸った。
 ナメクジが這うような嫌悪感――三宅を蹴り飛ばしたかったが、恐怖に身体が動かなかった。
「下のお毛々はどうなってるのかな~? 若葉ちゃんの繁みは薄いのかな~? それともボーボーなのかな~?」
 三宅がスカートをたくし上げ、パンティを引き摺り下ろした。
 首筋に当てられたナイフに声帯が萎縮し、朝陽は声を上げることができなかった。
「ビンゴー! 薄(うす)墨(ずみ)で塗ったような陰毛だ......いただきまーす!」
 三宅が、朝陽の秘部にむしゃぶりついた。
「おマメさんもちっちゃいね~」
 三宅は秘部の突起を吸い、肉(にく)襞(ひだ)を舌で掻き分けながら奥に侵入した。
 朝陽は眼を閉じ、きつく奥歯を噛み締めた。
 全身の表皮を、鳥肌が埋め尽くした。
「そんなに足に力入れちゃって、もしかしてもしかして......若葉ちゃん、ヴァージン?」
 三宅の嬉々とした声が、朝陽の嫌悪感に拍車をかけた。
「若葉ちゃんはヴァ~ジン? ねえ、ヴァージン!?」
 三宅が繰り返し訊ねながら、朝陽の耳を舐めた。
 噛み締めた歯が舌を傷つけ、口内に血の味が広がった。
「そうなんだ? そうなんだ!? そうなんだね!?」
 三宅の嬉々とした声が、ボリュームを増した。
「若葉ちゃん、眼を開けて」
 悍(おぞ)ましい光景を眼にする勇気が、朝陽にはなかった。
「秀、僕が五を数えるうちに若葉ちゃんが眼を開けないなら、かわいい顔に傷をつけちゃってもいいからさ」 
 三宅の言葉に、朝陽は弾かれたように眼を開けた。
 朝陽はすぐに眼を閉じた。
「ちゃんと見てないと、顔を切り裂くよ!」
 三宅の怒声に、朝陽は恐る恐る眼を開けた。
 三宅の股間で反り返るグロテスクな肉塊に、朝陽は悲鳴を上げた。
「若葉ちゃん! 眼を逸らさずにちゃんと見て! 秀! 頬にナイフを当てて! 若葉ちゃんが顔を背けたら皮膚が切り裂かれるように!」
 朝陽は涙目で、三宅をみつめた。
「さて......」
 スマートフォンを取り出す三宅――朝陽の胸を、不吉な予感が支配した。 
「僕、ヴァージンと嵌(は)め撮りするのが夢だったんだよね~」
 三宅がスマートフォンを構えながら腰を屈め、肉塊を秘部に近づけた。
「いや......いや......お願い......やめてください......」  
 頬に刃が当てられているので、逃げるどころか少しも動けなかった。
「若葉ちゃんの、初めての男になってあげるよ! ヴァージンを頂きまーす!」
 三宅が下卑た笑みを浮かべながら、朝陽の秘部に肉塊を挿入してきた。
 耐え難い激痛――底なしの絶望。
 朝陽の悲鳴が、店内の空気を切り裂いた。
「あむふぅ......いいよいいよ~うむふぁ......もっと泣いて~むぉふ......もっと叫んで~......あふぅ......いい画(え)をちょうだ~い!」
 スマートフォンのスイッチを入れた三宅が、気持ち悪い喘(あえ)ぎ交じりの声を発しながらゆっくりと腰を動かした。  

#刑事の娘はなにしてる?

イラスト/伊神裕貴

Synopsisあらすじ

4件の連続殺人事件が発生した。被害者の額にはいずれも「有料粗大ゴミ処理券」が貼られ、2人は唇を削ぎ落とされ、2人は十指を切断されていた。事件を担当するコルレオーネ刑事こと神谷は、3人目の被害者が、出会い系アプリで知り合った女子大生と会った翌日に殺害されたことを知る。連続殺人の犯人と被害者が抱える現代の増幅する憎悪に迫る!!

Profile著者紹介

大阪生まれ。金融会社勤務、コンサルタント業を経て、1998年「血塗られた神話」で第7回メフィスト賞を受賞し作家デビュー。以後エンターテインメント小説を縦横に執筆する。著書に『血』『少年は死になさい…美しく』『168時間の奇跡』(以上中央公論新社)『無間地獄』『忘れ雪』『紙のピアノ』『枕女王』『絶対聖域』『動物警察24時』など多数。映像化された作品も多い。

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