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伊藤比呂美 著
肩、膝、腰は凍りつき、なくす探すをくり返す。もんもんと考え、るると書く。犬どもを従え荒れ地を歩く。料理なんかする気もなかった――男が一人、老いて死んでいくのを看取るのは、ほんとうによかった。『閉経記』から五年。書くことで生き抜いてきた詩人の眼前に、今、広がる光景は。