齋藤達志『完全版-沖縄戦-大戦略なき作戦指導の経緯と結末』(2025年5月刊)が第37回アジア・太平洋賞特別賞を受賞しました。
沖縄戦についての本は数々出版されていますが、本書は、「日本・アメリカ」「指導部・現地部隊」「軍・行政・住民」という複眼的視点で凄惨な戦場の実態を立体的に分析しています。豊富な戦況図によって作戦・戦闘の経緯を読み解くことができるようにもなっています。
今まで見逃されてきた軍属の証言・資料からの引用も多く、「軍隊の論理」だけでなく「民衆の論理」も描き出します。ガザのように戦争の被害者は常に住民です。軍事専門家でありながら数々の戦跡をめぐり戦争の悲惨さを実感しているだけに「住民保護」の大切さを強く訴えています。