福音派―終末論に引き裂かれるアメリカ社会
加藤喜之 著
近年、巨大な影響力を誇るアメリカの福音派。独特の終末論的な世界観を持つ宗教集団・運動は、いつから勢力を拡大し、政治的・文化的闘争に関与していったのか。本書は、アメリカの人種差別や中絶・同性婚問題、イスラエルとの関係などに福音派がいかに関わったのかを描く。カーター、レーガン、クリントン、オバマら歴代大統領、そしてトランプたちとの交差も示し、超大国に深い亀裂が入った経緯と現在地を照らし出す。
目次
- まえがき
- 序 章 起源としての原理主義
- 第1章 「福音派の年」という転換点――一九五〇年代から七〇年代
- 1 原理主義者と福音派のはざまで
- 2「福音派の年」とカーター大統領
- 3 終末に生きる選ばれし者たち
- 第2章 目覚めた人々とレーガンの保守革命――一九八〇年代
- 1 政治的な目覚め
- 2 モラル・マジョリティの誕生
- 3 レーガン政権と福音派のせめぎ合い――保守革命の裏で
- 第3章 キリスト教連合と郊外への影響――一九九〇年代
- 1 パット・ロバートソンの政治戦略
- 2 フォーカス・オン・ザ・ファミリーと伝統的家族観
- 3 クリントンの信仰と六〇年代の精神
- 4 ウォルマートとメガチャーチの止まらぬ拡大
- 第4章 福音派の指導者としてのブッシュ――二〇〇〇年代
- 1 ボーン・アゲイン大統領とネオコンの思惑
- 2 九・一一と小説のなかの終末論
- 3 信仰の公共性
- 4 スキャンダラスな福音派と右派の失速
- 第5章 オバマ・ケアvs.ティーパーティー――二〇一〇年代前半
- 1 初の黒人大統領と福音派左派
- 2 オバマ・ケアと中絶問題
- 3 ティーパーティー運動
- 4 アメリカ建国偽史
- 第6章 トランプとキリスト教ナショナリズム――二〇一〇年代後半〜
- 1 白人とイスラエルの味方として
- 2 保守化する司法と中絶・同性婚問題
- 3 キリスト教国家と非宗教者
- 終 章 アメリカ社会と福音派のゆくえ
- あとがき
- 主要参考文献
- 略年表
- 主要人名索引
書誌データ
- 初版刊行日2025/9/19
- 判型新書判
- ページ数328ページ
- 定価1320円(10%税込)
- ISBNコードISBN978-4-12-102873-0
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