塩出浩之『琉球――「沖縄問題」の原点』(2025年6月刊)が第37回アジア・太平洋賞特別賞を受賞しました。
本書では、日中の両属国家だった琉球王国が日本に強制併合されていく過程を、琉球と帝国日本という双方の目から丹念に描いています。1872年の琉球藩設置、79年の沖縄県設置、80年の強く抗議した清国との八重山分島交渉までのプロセスです。国王は東京に送られましたが、島内では組織的抵抗が日清戦争まで続きます。
また、本書は琉球処分について琉球と日本だけの問題ではない清国や西洋諸国を巻き込み東アジアに新しい秩序をもたらしたという、より大きな視点からも描いています。