中央公論新社 創業130周年記念出版 谷崎潤一郎全集 決定版全26巻

編集委員

千葉俊二
(早稲田大学教授)
明里千章
(千里金蘭大学教授)
細江 光
(甲南女子大学名誉教授)

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谷崎潤一郎全集内容見本

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中央公論新社 営業局

〒100-8150
東京都千代田区大手町1-7-1
TEL: 03-5299-1730
FAX: 03-5299-1946

月報:苅部 直・森 博嗣

定価 6800円(税別)

ISBN 978-4-12-403583-4 C0393

第二十三巻、3月10日刊行!
三つの場合
「三つの場合」「吉井勇翁枕花」「若き日の和辻哲郎」「古川緑波の夢」「伊豆山放談」「幼少時代の食べ物の思ひ出」「日本料理の出し方について」「おふくろ、お関、春の雪」「親父の話」「或る日の問答」「千萬子抄」
当世鹿もどき
「当世鹿もどき」
単行本未収作品
「老後の春」「残虐記」
雑纂
「明治回顧」「阿呆伝序」「あの頃のこと」「ふるさと」「気になること」「京舞礼讃」「あの頃のこと(山田孝雄追悼)」「銀婚式披露挨拶」「「細雪」を書いたころ」「幼き日の六代目」「武林君を悼む」「舌代(喜寿挨拶)」ほか

戦中戦後に縁のあった三人の臨終を題材にした『三つの場合』、松子夫人との出会い、友人芥川龍之介の死、才気煥発な女優たちとの交流から東西文化や日本語についてまでを落語家(はなしか)のような口調で自在に綴った『当世鹿もどき』――老境に入り死を見つめながら描いた二冊の随筆集を中心に、未完の問題作「残虐記」など、同時代の幅広い文章を数多く収載する


*第二十五巻、第二十六巻の収載内容を、以下の通り変更しました。
第二十五巻 初期文章 談話筆記 創作ノート 歌稿
第二十六巻 日記 記事 草稿 略年譜 著作目録 著書目録 著作索引

次回配本は2017年4月10日、第12巻「赤い屋根」「友田と松永の話」「饒舌録」、の予定です

各巻の内容と刊行順

2017年
01月8巻 鮫人、AとBの話、アマチユア俱楽部ほか
02月9巻 愛すればこそ、お国と五平、藝術一家言ほか
03月23巻 三つの場合、当世鹿もどき、残虐記ほか
04月12巻 赤い屋根、友田と松永の話、饒舌録ほか
05月22巻 過酸化マンガン水の夢、鍵、夢の浮橋ほか
06月26巻 日記、記事、草稿、略年譜、著作索引ほか

刊行ご挨拶

 明治・大正・昭和の半世紀にわたり、常に進化しながら、膨大な数の作品を書き続けた、まさに「文豪」の名にふさわしい作家、谷崎潤一郎。人間存在そのものに肉迫した傑作の数々は、没後50年を迎えようとする今なお、日本のみならず海外でも高く評価されています。
 谷崎の生まれた1886年(明治19)は、くしくも小社創業の年でもあり、25歳のときの「秘密」をはじめ、「吉野葛」「盲目物語」「春琴抄」「細雪」「鍵」、晩年の「瘋癲老人日記」等、代表作の多くが雑誌『中央公論』『婦人公論』に発表されるなど、非常に強い関係を保ち続けました。
 谷崎生誕130周年と中央公論創業130周年を記念して、その豊かな世界を網羅した、決定版「谷崎潤一郎全集」を刊行いたします。

中央公論新社

刊行ご挨拶

 2015年は谷崎潤一郎の没後50年。この50年間に文学をめぐる環境は大きく変わったが、人間の生に根差した本源的なものをさぐり、それを魅惑的な物語に結晶させた谷崎文学は時代を超えて読み継がれてきた。時代は活字の文化からITのデジタル文化へ移行したが、私たちが生きるうえに必要な物語の力を涸渇させてしまってはならない。20世紀の日本文学において絢爛たる作品世界を構築し、馥郁たる物語性を発揮した谷崎は「大谷崎」と称され、半世紀にわたり第一線で活躍しつづけたその作家活動からは数多くの名作が生み出された。
 今回の決定版「谷崎潤一郎全集」は、新たなコンセプトによって編成しなおし、使いやすく、読みやすくなるようにさまざまな配慮を施した。収載する作品の配列は、基本として作者の最終完成形を示す単行本の形式を復元させ、それに編年体の方式を加味した。また谷崎文学の研究者の力を結集し、これまでの谷崎全集にはなかった「解題」をはじめて付し、初出紙誌、初刊本などいくつかの本文を校合して、主なヴァリアントを記載した。「細雪」など原稿が現存しているものに関しては、原稿とも校合した。
 決定版の名にふさわしいように、谷崎潤一郎の文学的な業績のすべてを網羅したばかりか、ご遺族の協力のもと創作ノートや日記、メモの類にいたるまで豊富な新資料を収めた。旺盛なる谷崎の創作の秘密を私たち読者に開示する、今後の谷崎研究には必須の全集である。ここから新たな谷崎文学の魅力も発掘し得るものと確信する。

編集委員:千葉俊二
明里千章
細江 光

推薦のことば

 最初に読んだ谷崎の文章は、『陰翳礼讃』だった。それまで、大谷崎、というような言葉に怖じ気づいて遠ざけていたのが、すっ飛んだ。言葉は平易で、なかみも読み易いのに、最後までわかるということがない。わかるのだけれど、自分がわかっていることの奥にまだ何かがあるような心地なのだ。その心地が、たいそう快い。驚いて、続けていくつかの小説を読んだ。それぞれに異なり、けれどそれぞれに谷崎だった。谷崎の小説は、谷崎だ、と表現するしかないような気がする。ほかに、似たものを読んだことがない。さっぱりしているのに、芳醇。怖いのに、わくわくする。そして、ぜんたいにおいしそう。食べものが描かれているところでなくても、なんだかおいしそう。おいしそう、は、官能的、という言葉にも置きかえられるけれど、官能、という言葉では足りない気もする。そういうふうに色々感じながら読み終えると、またひとたび読みたくなる。それが谷崎というものなのだ。

「春琴抄」や「蘆刈」のように作者の見聞や記録の記述で読者におやこれはノンフィクションかと思わせながら徐徐に物語の核心へと導く手法と、マゾヒズムに近い自己犠牲。「卍(まんじ)」のように思わず笑い出してしまう途方もない饒舌。また谷崎自身が封建的ロマンへの憧れを抱きながら一方ではそこから脱出しようとする対創作的心情が「蓼喰う虫」では主人公に投影されていたりする。かと思えば谷崎のユーモア感覚炸裂の「武州公秘話」における鼻が落ちた織部正の話し言葉に抱腹絶倒。「鍵」や「瘋癲老人日記」の老人性欲は若い時に読んでも早く老人になりたくなるほど蠱惑的だ。「痴人の愛」や「卍」の痴呆にまで至る情愛の強烈さ。古きよき時代の東京をたっぷりと賞翫できる「幼少時代」。滋味横溢の「陰翳礼讃」。その他すべての作品に及ぶ展開の妙。やはり谷崎は実に面白い。しかしまだ半分も読んでいないのだ。 この全集で残りを読破したいものである。

 優れた芸術家は、その人にしか造り得ない固有の世界を造り、人類への贈物とし、土に還る。谷崎潤一郎がいなかったら、北斎やヘンデルがいなかったのと同様である。そこまで人に言い切らせる谷崎も幸せなら、その谷崎を原文で読める我々も幸せである。  小さい頃から谷崎が好きで、いずれ全作品を読みたいと思っていた。やがて異国の大学町で暮らすうちに、そんなことをしたら、日本に飛んで帰り、紅白粉をぬり、帯をキュウキュウと鳴らし、やれ音楽会だ、花見だと人生を謳歌したいという、実現不可能な衝動にかられるだろうと思い、谷崎は避けるようになった。それが二十代の半ばを過ぎた頃である。意を決して全集を手に取れば、そのようなことはなかった。ひたすら読む毎日だった。一巻から順繰りに読んだせいであろう。かくもめまぐるしく変化していった谷崎の世界が、これまた、どこまでも谷崎固有のものである事実に驚かされた。さらに充実した全集が出るのは人類への新たな贈物である。

刊行ご挨拶

◎充実の解題
本文が確定するまでの改稿、改訂の経緯など、最新の研究成果を盛り込んだ解題を各巻に付す。発表当時の創作意識にも迫ることができるように、初出誌紙、初刊本などいくつかの本文を校合して、主なヴァリアントを記載。「細雪」など原稿が現存しているものに関しては、原稿とも校合した。
◎編年編集で業績を一望
デビュー作「刺青」から、晩年の「瘋癲老人日記」、絶筆「七十九歳の春」にいたるまで、すべての作品(『源氏物語』現代語訳を除く)を、単行本ごと、執筆時期ごとにまとめる。また、同時期に書かれた随筆、短文も同じ巻に収載し、作風の変遷や創作の背景を明らかにする。
◎新資料を満載
全集未収の創作ノート全11冊、新たに発見された晩年の日記8冊など、創作と生活の秘密に迫る貴重な新資料をはじめとして、初収載の作品は150点以上。
◎新字旧かな
著者の意向を尊重しながら、現代の読者にも読みやすい本文とするため、新字旧かなを採用。

刊行ご挨拶

◎四六判上製・函入り 各巻約600ページ
◎装幀 ミルキィ・イソベ
◎装画 山本タカト
◎豪華執筆陣によるエッセイ掲載の月報付き
◎各巻定価 本体 6,800円(税別)