『愛なき世界』で、ひたすら研究に情熱を注ぐ植物学者を描いた三浦しをんさんが、登場人物のモデルの一人である平野博之先生(東京大学名誉教授)に、植物をめぐるギモンをとことんぶつけます!
「植物には、脳も神経もありません。つまり、思考も感情もない。人間が言うところの、『愛』という概念がないのです。それでも旺盛に繁殖し、多様な形態を持ち、環境に適応して、地球のあちこちで生きている。不思議だと思いませんか?」(本文より)
本村と会ってから、藤丸には世界がこれまでとちがって見える。料理で使う野菜はよりうつくしく輝きを帯び、なんということもない都会の風景のあちこちにある緑が目にとまる。なんてたくさんの植物が、地球上で生きているんだろう。さびしさをふと忘れるほどに。(本文より)