知の政治家
瀧井一博 著
幕末維新期、若くして英国に留学、西洋文明の洗礼を受けた伊藤博文。明治維新後は、憲法を制定し、議会を開設、初代総理大臣として近代日本の骨格を創り上げた。だがその評価は、哲学なき政略家、思想なき現実主義者、また韓国併合の推進者とされ、極めて低い。しかし事実は違う。本書は、「文明」「立憲国家」「国民政治」の三つの視角から、丹念に生涯を辿り、伊藤の隠された思想・国家構想を明らかにする。サントリー学芸賞受賞。
2010/4/25 刊行
黒井千次 著
「かつてのようには歳を取りにくくなった昨今の老人はどのように日を過し、何を考えたり感じたりしてどう生きているか」(あとがきより)。昭和一桁生まれの作家が、自らの日常を通して〈現代の老いの姿〉を探る。同級生の葬儀を同窓会になぞらえ、男女の老い方の違いに思いを馳せ、「オジイチャン」と呼ばれて動揺、平均余命の数字が気にかかり―。冷静な観察眼と深い内省から紡がれる、珠玉のエッセイ五六篇を収録。
2010/4/25 刊行