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瀬戸内寂聴× 井上荒野
家庭のある男を愛した女と
夫の噓を信じた妻の胸の内は

井上荒野さんの父・井上光晴さんは、かつて瀬戸内寂聴さんと不倫関係にありました。荒野さんは、父と母・郁子さん、寂聴さんをモデルに、3人の男女の奇妙な交友を最新小説『あちらにいる鬼』に書いています。長い間、文学界の公然の秘密だったその関係とは──。二人でじっくり語り合います

母の謎に迫るために執筆を決意

井上 この世には「これしかない」という男と女の組み合わせがあって、それが私の父と母であり、父と寂聴さんだった気がします。4年ほど前、父と母と寂聴さんの関係を書いてみないかと編集者から提案されて、最初は絶対嫌だとお断りしました。両親は亡くなっていましたが、寂聴さんについて書いた私の小説をご本人に読んでいただくなんて、そんな怖いことできない。(笑)
瀬戸内 私はなぜ書かないのかと思っていましたよ。
井上 ちょうどその頃、寂聴さんが体調を崩されて。回復された頃、江國香織さんと角田光代さんと、ここ寂庵に遊びに来たのです。夜までお話ししましたね。父の話もたくさんしてくださった。寂聴さんは本当に父のことが好きだったんだと実感し、その時に、書きたい、読んでいただきたいと思いました。

(『婦人公論』2019年2月26日号より一部抜粋)
※ 同号は、書店店頭にて2月25日まで販売中

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