
学問の起源へ
上村忠男 著
ヴィーコ(一六六八―一七四四)は、学問的な世界把握にはらまれる理性主義的錯誤の危険性をことのほか鋭く認識していた、ナポリ生まれの哲学者である。大量破壊兵器、環境破壊など、ヨーロッパ的諸科学のもたらした弊害がかつてにも増して深刻味を帯びつつある今日、ヴィーコの学問批判のもつ意味は大きい。本書は『新しい学』の新訳等を完成させた碩学による、ヴィーコの学問観への透徹した案内である。詳細な文献表付。
戦闘的自由主義者の真実
松井慎一郎 著
人格の成長を第一と考える理想主義を提唱し、昭和期の学生の必読書『学生に与う』を著した思想家・河合栄治郎。彼の生涯は戦いの連続であった。中学校でのいじめにはじまり、保身に走る官僚、派閥抗争に明け暮れる大学教授、そしてファシズムに傾斜していく軍部に対し、自らの信念を貫き通した彼は、まさに「戦闘的自由主義者」であった。新発見の史料によって生涯・思想・後世への影響を詳説。いま明かされる、真実の河合栄治郎とは。
近代100年の20篇
熊野純彦 編著
明治初年にフィロソフィーという考え方が移入されて以降、日本哲学にはいくつものドラマが生まれた。例えば漱石や鴎外のように、文学と混淆していた黎明期、西田幾多郎が『善の研究』で日本中の青年を魅了し、田邊元や和辻哲郎が西洋の哲学者と切り結びつつ独自に思想を花ひらかせた頃、西田とはまったく異なる文体で大森荘蔵や廣松渉が哲学を語り始めた戦後……。本書によってはじめて、近代日本哲学の沃野が一望される。