アリシャーラン
第二界に生きる陸の民。
第二界に生きる陸の民。
かつて第四界で生活をしていたとされる海の民。
千年前の大戦でアリシャーランに敗れ、
多くの民が捕虜として第二界に連行された。
第二界にある唯一の大陸を統べる帝国。
アリシャーランの皇帝が代々統治している。
南海にあるウィゴネール諸島を統べるアリシャーランの王国。
西海のサーバス群島を統べるアリシャーランの王国。
蹄の先から「水道」と呼ばれる足場を作り水面を駆ける水生の馬。
人を喰らう海獣。巨大なトカゲのような姿をしている。
サクォーリアンの伝承に謳われる生物。
神の眷属として崇められていた。
竜の始祖とされる存在。 転生を繰り返し、竜と第四界を守り続けていた。
〈始原の竜〉が自分のパートナーとして選ぶ人間。
一度の生につき一人を選ぶ。
代々竜の世話を務めてきたサクォーリアンの一族。
「半端者」の青年。 ルドゥン帝国軍艦〈オルムネア〉の準騎士。
ルドゥン帝国の第一皇子。
シルッカが初陣の夜に拾った生き物。
サクォーリアン唯一の帝国軍人。
〈オルムネア〉所属の騎士。二の波頭馬隊隊長でシルッカの上官。
〈オルムネア〉所属の王騎士。一の波頭馬隊隊長。
(2024年8月 聞き手・編集部)
海の上を駆け抜ける馬のイメージがまず頭に浮かび、そこから〈一つの大陸と千の島々〉や四層からなる世界観のピースがつながっていきました。何かきっかけがあったというより、身体の中ではち切れそうになっているイメージをすべて描きたい!という気持ちで、夢中になって書き上げた作品です。キャラクターに関しては、自分が好きなものを詰め込めるだけ詰め込みました(笑)
ノベルス版の刊行から十四年になります。社会も私自身もずいぶん変わりました。児童文学作家としての執筆活動を経た自分が「いま」作品に真剣に向き合ってみると、特にジェンダー観や差別にあたる可能性がある表現などで気になる箇所がいくつもありました。児童文学というジャンルは、読者となる子どもの多様さを想定して、あらゆる表現・ことばをじっくりと選んでいきます。単行本化のお話をいただいてすぐに、今作もそのスタンダードに則って世に出そうと思いました。そのことを予め担当編集者Oさんにお伝えして、過去作の復刊とは思えないほど幾日も長時間話し合い、自分が納得いくまで修正を重ねました。結果的に、令和の読者にふさわしい『新・四界物語』に仕上がったと思います。根気強く改稿・修正作業にお付き合いいただいたOさんには感謝しかありません。そして、やはり自分が好きなものを詰め込めるだけ詰め込みました(笑)
私は基本的に過去作は読み返さないので、まるで最初の読者のような新鮮な驚きとわくわくをもって(!?)原稿を読み直しました。基本的に自分が好きなことを書いたものなので、作品自体とても好みなんですよね。反面、稚拙な箇所も目立ち「私のへたくそ...!」と過去の自分に往復ビンタしながらの改稿でした。あとは、児童文学の新刊と改稿時期が重なっていましたので、スイッチの切り替えが大変でした...。
児童文学では、リアリズムといって現実世界の子どもたちをファンタジー要素なしで書く手法を主にとっていますので、まずはさまざまな取材を徹底的にかさねます。また、児童書に特有のグレードという要素があります。簡単に数えても幼年向け、低学年向け、中学年向け、高学年向け、YA(ヤングアダルト)向けといった区分があり、それぞれ意識する読者層が違ってきます。文章もそれに応じて繊細に変えていきます。そこは大人向けの作品とはずいぶん違いますね。気分的な点では、ファンタジーは私の最初のフィールドであり原点ですから、書いていると里帰りみたいにのびのびできます。いずれにせよ好きなものを詰め込むぞ!というスタンスには変わりがありません。終始エンターテイメントを意識している点も同じです。楽しんでいただくこと、表現することにジャンルの壁はないと感じます。
世界観や設定にこだわる読者さんとキャラクターを愛でたい派の読者さん、どちらの方にもたっぷり楽しんでいただける作品です。児童文学からこられた読者さんには、児童書作家・黒川裕子らしいスピード感と熱さはそのままに、これまでは封印していた幻想描写を楽しんでいただけるのではないかと思います。広大な〈四界〉を、海駆ける馬〈波頭馬〉といっしょに旅してください。〈一つの大陸と千の島々〉でお待ちしております!