-就職先として中央公論新社を選んだ決め手は何でしたか

大学生の時に読んでいた本の多くが偶然、中央公論新社刊行だったことが大きいです。卒業論文のテーマとしたオルタナティブな教育に関しての資料を探していた頃に出会ったのが、新書『ミュンヘンの小学生』や『私のミュンヘン日記』でした。今振り返るといろんな意味で助けられた2冊です。『宇宙からの帰還』といった名著や古典など、人生を豊かにする本をたくさん出していることも魅力です。面接の際には先輩社員の方々と話が弾み、漠然とですが社風に合うと感じました。

-雑誌編集者の面白さはどこにありますか

一般向けの単著などがなく、1冊数百ページある書籍の執筆は頼みづらい著者にも、記事1本あたりの文字数が少ない雑誌だと依頼しやすく、才能ある書き手を発掘する楽しさがあります。これまで語られてこなかった同時代性を切り取る、あるいは先取の精神で作り出していくのも月刊誌ならではで、刺激に満ちています。また、研究者や作家をはじめ、政治家や社長、芸能人まで、名刺があれば誰にでも会える。テレビ画面の向こうにいた有名人や、私淑していた憧れの著者と対面してお話するのは至福の時間です。

10:00

出社。メール、ニュースをチェック

10:30

掲載予定の原稿整理など。頂いた原稿を読み、著者にお礼や感想を伝え、タイトルや小見出しを考える

11:30

過去の号をチェック。教科書に載っているような錚々たる知識人、当時の最先端の知性が詰まっています。その裏には編集者たちの脈々と受け継がれてきた仕事があると思うと、自分もしっかりせねばと身が引き締まります

12:30

昼食。週に1回、同僚とランチをとりながら企画の話。
ざっくばらんに意見を言い合い、思わぬアイデアがうまれることも

14:00

企画会議。何を特集するか、その特集で適切な論者や語り手は誰か、特集名などを議論し固めていきます

15:00

時間ができたら、図書館や書店で面白そうな記事を探して読みます。流行っているもの、多くの人が関心を持っていることは常に意識をしています

16:00

ネット記事のチェック。息抜きがてら、ウェブに掲載する記事に誤字脱字がないか確認

17:00

著者と打ち合わせ。会社や喫茶店、オンラインなどで、著者と原稿のネタ出しをしたり方向性を話し合う

20:00

退社。キリのいいところで退社。お酒を飲みに行きます!
リフレッシュになるうえに、他部署で進行中の企画を知ることができます


休日にはよく山に登っています。職場がある都心から物理的に離れて自然と接することで気分転換できますし、体力維持にもなり、一石二鳥です。年間を通して登山ができればいいのですが、雪山は難易度が高く、まだ挑戦できていません。いつか必ずと思っていますが、冬は山に題材を取った小説やエッセイ、学術書を読めばいいので、困ることはありません。登ってよし、読んでよしのロングランコンテンツだと思います。
消せる赤ペン、青ペンはゲラに加筆修正を入れるために使います。間違えて書き込んでしまったときに修正テープを使わずに字を消せるので便利です。手帳は日々のスケジュール管理に欠かせません。取材や打ち合わせ、会議などの予定を忘れないように記します。ふとしたときに思い付いたアイデアもメモして温めます。
マンガはすぐに読み切れますが紙で買うとかさ張ってしまうので、電子書籍で読むことが多いです。移動時に持ち運びやすく、ちょっとした隙間時間に目を通したい読み物があるときにも重宝します。

就職活動中のみなさんへ

就職活動中のみなさんへ

出版社を受けようと考えているみなさんにとって、本はいくら読んでも読みすぎることはないと思います。読んだ本の内容が会話の取っ掛かりにもなれば、企画立案の手掛かりにもなりますので、自由な時間が比較的ある学生時代にぜひさまざまな本に触れてみてください。一方で、志望先をマスコミ業界だけに絞ると考えも凝り固まってしまうかもしれません。興味のある仕事が他にもあればそこへ首を突っ込むことで、相対化、俯瞰視してみることも大事だと考えています。

所属は2023年1月現在です