書籍情報

書籍詳細

大統領奪還指令6

C★NOVELS

大統領奪還指令6
北米オセロゲーム

大石英司 著

韓国軍の奇襲により、シアトル空港は反乱部隊から奪還された。日本は総力を挙げて、中国の最新鋭戦闘機の基地を探す。その頃、核のボタンを持つM・Aに大統領から、ある秘密施設についての依頼が......。

カバー:安田忠幸
新書判/216ページ/定価:1265円(10%税込)
ISBN978-412-501499-9


だいとうりょうだっかんしれい6
ほくべいおせろげーむ


立ち読みしてみる
この作品の冒頭20ページを無料でご覧いただけます。
オンライン立ち読みシステム!


コメント

 本書が店頭に並ぶ頃には、もう参議院選挙の結果も出ています。立憲民主党や共産党を含む既成政党の退潮傾向は何を意味するのか? それはひとえに、高齢者の退場です。
 55年体制を支えた世代、戦後の混乱期に生まれた団塊世代が、いよいよ投票場から退場しようとしている。従来、この世代は、そのボリュームの厚さから、現役世代に負けることはないと言われてきました。
 事実として、だからこそ老人医療は手厚くなり、現役世代はそのために搾取され続けた。しかし、当然のことながら、その世代は、鬼籍に入る前に、まずは投票所から遠のくことになる。圧倒的だったはずの影響力にもようやく翳りが出て来た。
 ところが、蓋を開けてみたら、現役世代は、消費税廃止などを叫ぶ、ポピュリズム政党に群がったわけです。私の率直な感想を言えば、こんなはずではなかった......、です。
 これは、トランプ現象に振り回されているアメリカも全く同様です。得体の知れない「世論」が、票を動かしている。その影響力の拡大に、インターネットのプラットホームが大きく影響を与えている。
 この10年間、私たちは欧州に於ける左派リベラル勢力の退潮と、極右の増大を見てきた。移民を排斥したら、では彼らが担っていた低賃金労働は、誰がこなしてくれるのか? 季節労働者に頼っていたアメリカでは、収穫の担い手がいなくなり、農産物が腐るままになっている。
 その政策を実行すれば、何が起こるかを想像できない人々が政治に携わり、当選し、政策に関与している。それを支持するのもまた、その結果、何が起こるかを全く想像できない大衆です。
 チャーチルは、「民主主義は最悪の政治制度である。ただし、これまで人類が試した他の制度に比べればまだましである」と現代政治を喝破しました。これは、もとはチャーチルの言葉ではなく、過去に類似の発言があったとされる。それに一番近い言葉を最も古い時代に言った人物としては、プラトンの名前が挙げられています。
 戦後80年、私たちは、民主主義を謳歌してきました。それが少なくとも、ライバル国の独裁より遙かに優れた統治システムであることに疑いを持つことは無かった。
 今、その確信が揺らいでいます。戦後100年という時が来た時、チャーチルの名言は、どう受け止められるのでしょうか? それはこれからの20年、われわれの舵取りに懸かっています。

〔大石英司/2025年7月〕

BOC
茅田砂胡 プロジェクト
A-KOE

メールマガジン登録

新刊情報、裏話など最新情報を
お届けします

メールマガジンの登録・解除はこちらから

フリーワード検索