汝に問う
回答の機会は一度きり。
逃亡すれば頭を落とす。
答えなければ首を削ぐ。
答えを間違えれば心臓を貫く
第一問は―― 終わりなき夜に生まれし者。光を知らず、色を知らない。 しかしながら世界を見たい、知識を得たいと欲するのは何故か
第二問は―― 無限の叡智を活かすもの。知識の活用に不可欠なもの。正道を行く指針となるもの。知恵を行使する目標となるもの。 それは何か
逃げるか
死ぬか
答えるか

叡智の図書館と十の謎

多崎礼

装画・六七質/挿画・田中寛崇

表紙画像です
プロローグ・エピローグを新たに書き下ろした完全版
至りし者は森羅万象に通じ、神に等しい力を手に入れる――
長い旅の末、伝説の図書館にたどり着いた旅人に守人は謎をかける。
鍵となるのは十の物語。
本格ファンタジーの新旗手による意欲作!
叡智の図書館。それは時間にも空間にも支配されない万智の殿堂。無限に等しいその書架には、古今東西の知識と思想、ありとあらゆる生命の記憶と歴史、この世に存在する思考のすべてが記録されているという。
叡智の図書館。そこに至りし者は森羅万象に通じ、神に等しい力を手に入れる。そんな伝説を信じ、多くの者達がその探索に財産と人生を費やした。ある者は「それは陽炎の彼方、灼熱の砂の海にあり」と、流砂巻く大砂漠へ旅立った。またある者は「それは水平線の彼方、大海原の最中にあり」と、荒波が牙を剥く大海洋へと出帆した。が、答えを得て、帰還した者はまだいない。
叡智の図書館。それは実在するのか。はたしてどこにあるのか。どうすれば辿り着けるのか。答えられる者は誰もいない。
それでも神に至る術を求め、旅に出る者は後をたたない

謎を解く鍵となる「十の物語」を著者がご紹介!(あとがきより)

十の短編にはそれぞれ題名があります。せっかくですので、各編の題名とともに執筆時の思い出など、ご披露したいと思います。

  • 第一問『戦士アハートの死』

     私の短編好きはレイ・ブラッドベリの影響です。第一問の短編は敬愛するブラッドベリの、とある作品へのオマージュになっています。

    シビル一族のインパクトは絶大です。
    読了後、第一幕は何度も読み返しました。

    @tawa_tawa_ta

  • 第二問 『悪党の息子』

     こういう法廷劇、一度やってみたかったんです。参考になるかなと思い、『ヴェニスの商人』の映画を観ました。ジェレミー・アイアンズ、格好よかったです。でもアル・パチーノ演じるシャイロックのほうが強く印象に残っています。

  • 第三問『七人の巡礼者』

     最初の設定では、巡礼者は二人だけでした。いろいろと考えているうちに、なぜか七人になってしまいました。もし機会があったなら、長編にリライトしてみたい一編です。

  • 第四問『蟲』

     私は虫が嫌いです。死にかけた蝉が怖くて夏は散歩も出来ません。羽音を立てて飛来する大量の虫とか、想像するだけでゾッとします。原稿が滞ったりしてストレスが溜まると、必ずといっていいほど虫にたかられる夢を見ます......。

    王と宰相の主従関係が良い!

    (担)

  • 第五問『白と黒』

     最初はサフィロの娘の視点で書き始めました。怖い人達に攫われた父を取り戻そうと奮闘する少女の話でした。が、なかなかうまくいかず、書き直しを繰り返した結果、このような形になりました。

    ラストに校正者さんも涙......

  • 第六問『君と思い出の箱』

     私は洋画や洋ドラが大好きです。『大海原の勇者達』のような映画があったら、ぜひとも観てみたいです。ドラマシリーズ『ロケットマン』の作品イメージは『スター・トレック』です。エヴァの演じたレイトン艦長とそのスピンオフ映画、ものすごく観てみたいです。

    7年前の私、いい仕事し過ぎなんだよ!

    @ray_tasaki

  • 第七問『二人の花婿』

     第七問の短編はリドル・ストーリーにしようと決めていました。しかし、これがなかなか曲者でして。書き上げた短編がどうしても気に入らなくて、散々迷ったあげく没にしました。締め切り二日前でしたが、一から書き直しました。すごく苦労した分、思い入れのある一編です。

    @magyaaaarさん推しCPの千比呂と妖狐が登場!

  • 第八問『水晶玉』

     この物語の設定は、私が投稿時代に書いていた長編小説が元になっています。シキミと太刀花が登場する『APシリーズ』は私のお気に入りでした。日の目を見ることがなかった二人を、こうしてお披露目することが出来てとても嬉しいです。でもまだまだ語り足りない! というのが本音です。

  • 第九問『愛と平和(ラブ&ピース)』

     登場人物の名前は1(ワン)から6(シクス)という数字になっておりますが、初稿では『十五少年漂流記』の少年達の名がつけられておりました。『十五少年漂流記』は小学生時代の愛読書です。私に読書の面白さを教えてくれた本でもあります。

    すべての猫好きに装幀家さんがお勧め

  • そして、最後の第十問。
    ぜひ、本文の後にあとがきを読んでください!

叡智の図書館と十の謎

多崎礼

発売日:2024/6/7 定価:2035円(10%税込) ISBNコード:ISBN978-4-12-005789-2
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