第2回
近藤聡乃「夢の浮橋」
作者より

谷崎潤一郎とは気が合わないに違いない、と思ったのは、作中の登場人物が好きになれなかったからです。この企画に参加することになって、若い頃の代表作から読み進めたのですが、このままでは好きな作品がみつからないのでは、と不安になりました。ところが、『夢の浮橋』など晩年の作品は、登場人物が皆魅力的で、別人の作品 のように感じられました。きっと歳を重ねるごとに素敵になられた方に違いない、と生意気ながら思っています。

プロフィール

こんどうあきの
1980年千葉県生まれ。2008年よりニューヨーク在住。アニメーション、マンガ、ドローイング、油彩など多岐に渡る作品を国内外で発表している。『はこにわ虫』『いつものはなし』『うさぎのヨシオ』などコミック作品も精力的に発表し、近著『ニューヨークで考え中』も話題に。現在『ハルタ』に「A子さんの恋人」を連載中。

原作の「夢の浮橋」や、谷崎潤一郎の晩年の作品は下記の書籍でお楽しみいただけます。

『夢の浮橋』(中公文庫)

『細雪』(全)(中公文庫)

『瘋癲老人日記』(中公文庫)

『鍵』(中公文庫)

『台所太平記』(中公文庫)

『谷崎潤一郎=渡辺千萬子往復書簡 』(中公文庫)