第4回
西村ツチカ「人間が猿になった話」
作者より

谷崎作品で最初に読んだのは『猫と庄造と二人のをんな』です。
男が猫に「小鯵の二杯酢」を口移しで食べさせるシーンが印象的で、自分の漫画の中で真似して描いたことがありました。
『人間が猿になった話』では、猫ではなく猿が登場し、どちらの作品とも動物が原因で人間が倒錯的な気持ちへ誘われていきます。
『人間が猿になった話』で特に好きなのは読む前から最後のオチがわかっているところ。こういう題名の付け方もいつか真似してみたいです。

プロフィール

にしむらつちか
1984年兵庫県生まれ。2009年にマンガ家デビュー。2010年『西村ツチカ作品集 なかよし団の冒険』で文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞受賞。著書に『かわいそうな真弓さん』『さよーならみなさん』がある。自主製作マンガ誌『ユースカ』でも精力的にマンガを発表している。 イラストレーターとしても活躍中。

原作の「人間が猿になった話」は『潤一郎ラビリンスⅦ ――怪奇幻想倶楽部』に収録されています。
その他、動物や人間にあらざるものが魅惑的に描かれる谷崎潤一郎の作品は下記の書籍でお楽しみいただけます。

『潤一郎ラビリンスⅦ 怪奇幻想倶楽部』(中公文庫)

『潤一郎ラビリンスⅥ異国綺談』(中公文庫)

猫と庄造と二人のをんな

人魚の嘆き・魔術師