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アメリカ陥落5

C★NOVELS

アメリカ陥落5
ロシアの鳴動

大石英司 著

米大統領選後の混乱で全米が麻痺する中、攻め寄せる中国海軍を翻弄した海上自衛隊。しかしアリューシャン列島に不穏な動きが現れ......日中露軍が激しく交錯するシリーズ第5弾!

カバー:安田忠幸
刊行日:2024/3/18
新書判/224ページ/定価:1210(10%税込)
ISBN978-412-501478-4


あめりかかんらく5
ろしあのめいどう


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コメント

 イスラエルによるガザ侵攻が止まりません。当然、残虐行為は起こる。子供達も巻きこれて次々と死んでいく。そこで起こっていることは、まぎれもなくジェノサイドでありホロコーストです。
 もちろん、イスラエル国内でも反戦運動はある。世界中のユダヤ社会の中でも、この戦争への批判はある。所が、当のイスラエルの政界ではどうか? イスラエルの社会全体ではどうか? と言えば、それらの声が政治を動かすまでには至っていない。
 イスラエルという国は、建国の歴史も浅く、またユダヤ人の苦難の歴史からも、ナラティヴ(物語)を大事にして来た国です。そのナラティヴの前には、文明社会の理念も沈黙する。
 私たちの国家社会は、大なり小なり、それらのナラティヴを持っている。日本にも天照大御神の物語があり、大和民族という物語がある。それらを国民が意識することはまずない。せいぜい左右の対立で俎上に乗るだけ。
 他方、それらナラティヴに依存することで、国民に苦役を強いる国々がある。現代中国は、共産党のナラティヴに依存して国を回し、ロシアは、今頃になってソヴィエトというナラティヴを持ち出している。
 そしてアメリカですら「偉大なるアメリカ」を御旗にして再選を誓う独裁者擬きの男がいて、それを国民の一定数が支持している。
 イスラエルの今回のような侵攻は、民主主義国家ではそう起きないと思われていた。この情報化時代に、専制国家と言えども、勝手な戦争など起こせないと皆が思っていた。しかるに、ロシアではそれが起こっている。その情報化を逆手に取り、国家が情報を独占し、都合のよい情報を国民に流すことで、戦争も独裁も容易に出来る体制に作り替えてしまった。
 私の世代は、民主主義は数多の問題を抱えていながらも、独裁よりはましだと教わって育った。それら民主主義国家同士が経済圏を構成することで、専制国家より豊かになると信じて疑わなかった。
 しかし現実はどうだろうか? 一握りの億万長者を生み出しはしたが、アメリカは貧困と薬物汚染に沈もうとしている。日本は、30年に及ぶ長期停滞から抜け出せずにいる。
 たかが株価がバブル期に戻った程度のことで、日本復活! を宣言する無邪気な人々がいる。
 21世紀はまだ始まったばかりだというのに、人類の未来はあまりにも暗い。

〔大石英司/2024年3月〕

BOC
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