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アメリカ陥落2

C★NOVELS

アメリカ陥落2
大暴動

大石英司 著

ワシントン州中部、人口八千人の小さな町クインシー。GAFAM始め、世界中のデータ・センターがあるこの町に、数千の暴徒が迫っていた----某勢力の煽動の下、クインシーの戦い、開戦!

カバー:安田忠幸
刊行日:2023/10/23
新書判/240ページ/定価:1210(10%税込)
ISBN978-412-501472-2


あめりかかんらく2
だいぼうどう


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コメント

 カリフォルニア州の、いわゆる万引き無罪法、プロポジション47(修正案47)が制定されたのは実は昨日今日のことではなく、もう10年近く前のことです。制定の理由はもちろん、刑務所が溢れたから。司法コストを微罪に割けなくなったから。そして、同様の万引き無罪法があるのは加州だけではありません。その法定金額も、加州より高い千ドル2千ドルの所もあるらしい。
 そりゃ小売りは逃げ出します。スーパーやコンビニが減って買い物が不便になれば、次に住人が逃げ出す。まず、仕事も住む場所も選べる中間層から逃げ出すことになる。引っ越しもままならない低所得者層だけが、その街に残され、更に治安が悪化することになる。
 世界中で合法化が進んでいる大麻ですが、これも実は、それが人体に無害だと解ったからではなく、その取締のコストに行政が耐えられなくなったからです。日本では以前から、大麻に関して、「無害だ!」と訴える人々が一定数居ますが、もちろんそんなことはありません。大麻の有害性は、今も科学的に立証され続けています。タバコと違う所は、その成分に、医薬効果がある物質が含まれるというだけです。
 ところで、大麻を解禁した国々でも、その販売は当局が許可した店舗に限られる地域がほとんどです。そこでは何が起こったのか? 店舗ビジネスにはべらぼうなお金が掛かります。それなりの商品を仕入れ、店舗の家賃を払い、なお窓口のバイトも雇わねばならない。当然、そこで売られる大麻は安くはない。アメリカ社会では、結局、その割高な大麻が消費者に嫌われ、昔ながらの街中での売人密売に戻り、店舗閉鎖が増えたそうです。非合法販売を潰す目的もあった合法化が、結局は市場経済の論理に負けた。当然、非合法販売には組織犯罪の影が付きまとう。
 アメリカ社会を蝕んでいるのは、それだけではない。金持ちから庶民まで嵌まっているオピオイド危機というのがあり、フェンタニル中毒の浮浪者は路頭でゾンビの如く群れ、立ち尽くし、糞尿を垂れ流す。アメリカが未だに世界一の経済大国、軍事大国であるという事実が嘘のような現実が、一方で進行している。日本がそうならないことを祈るばかりです。
 アメリカは、それら治安や薬物汚染の拡大を阻止回復できるのか? 少なくともこの四半世紀、悪化はしても改善されたというニュースを聞いたことはない。

〔大石英司/2023年10月〕

BOC
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