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パラドックス戦争 上

C★NOVELS

パラドックス戦争 上
デフコン3

大石英司 著

逮捕直後に犯人が死亡する不可解な連続通り魔事件。核保有国を震わせる核兵器の異常挙動。そして二一世紀末の火星で発見された正体不明の遺跡......。謎が謎を呼ぶ怒濤のSF開幕!

カバー:安田忠幸
刊行日:2023/6/21
新書判/224ページ/定価:1100(10%税込)
ISBN978-412-501466-1


ぱらどっくすうぉー じょう
でふこん3


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コメント

 最近、物理学の世界でホットな話題が一つあります。それは、時間の「逆行性」に関するものです。
 時間はもちろん、一方通行です。常に一方通行です。そこには時間の「順行性」という厳然たるルールがある。
 ところが、量子力学では、蓋を開けるまで箱の中の猫が生きているかどうか解らないという面妖な理論が出て来て、さらには二重スリット実験、量子もつれにトンネル効果と何でもあり。時間とはなんぞや? という古くて新しい問題にスポットライトが当たるようになりました。

 この新しいテーマでありトピックス、実はわれわれトレッキー(スタートレック・ファン)にとっては、全く古めかしい話題でもあります。今更、何を言っておるんだろうと。
 日本では「新スタートレック」としてテレビ放映された Star Trek:The Next Generation、シーズン7に「All Good Things」(邦題、永遠への旅)という最終話(前後編)がありました。スタートレック史上最高傑作と評価される最終回です。
 これがまさに、遙か未来でピカード艦長が取った行動が、過去の全宇宙の運命を決するという壮大なエピソードでした。放映は、1994年の5月のことです。
 なんと、今から30年も昔に、「未来に取った行動が、過去を変える」という物語を書いていたクリエーターがいたということに驚かされます。SFは常に、科学的発見の前を歩いています。

 本書は、そこまで大げさなものではありません。今から1世紀後、火星で発見された何かが、実は過去の、現在の地球に影響を及ぼしたかもしれないという物語です。

 さて、本書に関してもうひとつ。懐かしい人物が登場します。このキャラクターが過去に、私の作品上で活躍したことはありません。単に、その名前が、私の初期の作品にほんの一行登場しただけです。
 あの頃、いつか彼女が成長した後の物語を書きたいと思っていました。あれからもう40年です。思い続けて40年。私にとっては、時間は全くの順行性法則、光陰矢の如しでした。

〔大石英司/2023年6月〕

BOC
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