C★NOVELS
中部太平洋最大の根拠地であるトラックを失った連合艦隊。おそらく、次の戦場で日本の命運は決する。だが、連合艦隊には米艦隊と正面から戦う力は失われていた----。
カバー:高荷義之
刊行日:2021/4/20
新書判/240ページ/定価:1100(10%税込)
ISBN978-412-501431-9
全五巻、六巻といった長丁場のシリーズでは、各巻毎のサブタイトルに悩まされます。
その巻の核となるものを簡潔に現し、かつ読者の期待をそそるものでなければなりません。
過去のシリーズでは、以下のようにして、サブタイトルを決めてきました。
1.二、三文字で、巻の内容を象徴する。
(『八八艦隊海戦譜』の『勇進篇』『死闘篇』など)
2.舞台の地名を使う。
(本シリーズの『激闘南シナ海』『中部太平洋急襲』など)
3.作戦名や海戦名を使う。
(『不屈の海』の『大和撃沈指令』『ニューギニア沖海戦』など)
4.作中で活躍する軍艦や軍用機の名を使う。
または、その軍艦や軍用機の役割を象徴的に示す。
(『蒼洋の城塞』の『ドゥリットル邀撃』など)
今回の第五巻では、日本軍が鹵獲し、自軍に編入した英国巡戦「リパルス」に見せ場を用意すると決めていましたが、日本海軍が命名した「大雪」をサブタイトルに使うことには躊躇しました。
艦名の由来となった北海道の大雪山は有名な山ですが、軍艦の名前としては、読者に馴染みがありません。
それなら、「鹵獲された戦艦が、米軍相手に奮戦する」という意味合いのタイトルにしてはどうか、と考え、「奮迅の鹵獲戦艦」としました。
正確には「奮迅の鹵獲巡戦」とすべきですが、巡洋戦艦も広義の戦艦に入ることや語呂の響きなども考慮し、このようなタイトルに決めた次第です。
〔横山信義/2021年4月〕