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台湾侵攻4

C★NOVELS

台湾侵攻4
第2梯団上陸

大石英司 著

決死の作戦で「紅樹林の地獄の夜」を辛くも凌いだ台湾軍。しかし、圧倒的物量を誇る中国第2梯団が台湾南西部に到着する。その頃日本には、新たに12発もの弾道弾が向かっていた----。

カバー:安田忠幸
新書判/224ページ/定価:1100円(10%税込)
ISBN978-412-501451-7


たいわんしんこう4
だい2ていだんじょうりく


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コメント

 ウクライナ戦争の長期化が言われています。プーチンは、ウクライナを焼け野原にする気満々でしょう。ウクライナ国民の士気は今はまだ高いものの、この夏を乗り切り、寒い冬が訪れる頃、その寒さを凌ぐ屋根も暖房も無い日常を強いられる国民が、何処まで耐えられるかは未知数です。
 私が以前からしつこく訴えてきたことですが、指導者の頭の中は覗けない。その国の民族がどれだけ素晴らしい歴史と文化に彩られ、理性的な哲学を持っていたとしても、妄想に取り憑かれた独裁者の暴走を止めることは出来ない。ロシアがまさにそうであり、北朝鮮がしかり、そして長らく集団指導体制だった中国も、今は一人の独裁者によって支配されている。
 この戦争がわれわれ日本人に突きつけたものは、結局の所、国防は、自分自身の手、国家国民自らの血と肉と銃弾で達成するしか無いという野蛮な現実です。他人任せには出来ない。
 日米安保は、侵略を防ぐ大きな防波堤にはなってくれるものの、それでもわれわれが自分の手を汚さず、あるいは、自ら危険を冒すことなく発動されるものではないという非情な現実を直視するしか無い。
 この21世紀に、われわれは、野蛮極まりない戦争を直視し、古色蒼然たる精神論で、それに備えることを求められている。
 ウクライナを巡っては、つい最近も、戦火の中で結婚式を挙げたばかりのカップルの幸せな動画が拡散し、しかし、新郎はその後戦死したというニュースが駆け巡りました。あるいは、ロシア軍の攻撃で両足を失った新婦を抱いて踊る動画に涙するわれわれがいる。
 一人一人の兵士や国民には普段の日常があり、それは残虐行為に及ぶロシア兵も同様です。しかし、そこで戦うのは、義憤に駆られ、同情して助けにやって来てくれた、どこか外国の兵士では無い。われわれはこの現実を直視するしかない。いざ侵略されたら、日本で戦うのはアメリカの兵士ではなく、日本人である。自衛官はもとより、編成される郷土防衛隊に否応なく投げ込まれて銃を取ることになるわれわれ民間人であり、またその子供たちです。
 もし台湾で一旦緩急あれば、日本は、最低限後背地としての役割を求められる。中国は、武力介入だけは思いとどまる日本を見逃してくれるだろうか? いやそもそもわれわれはただ台湾に防弾チョッキを送り、あるいは弾薬を提供するだけで済むだろうか?
 たかが無人島を守るために自衛官が危険を冒すことすら拒絶するような安寧とした国民性の下で、隣人とは言え、台湾の民主主義を守るために自衛隊に出撃せよ! と命ずる状況になった時、国民はその戦死を受け止めることが出来るだろうか? 彼らは民主主義を守り、隣国の防衛に義を持って立ち上がり、サムライとして立派に戦死したのだ......、と言えるような国民性は最早ない。それは喜ぶべきことだろうか?
 本書を読み終えたなら、読者の皆様には、今一度、表紙のイラストを見返して欲しいのです。背景にうっすらと描かれた鉄塔。あれが私たちの象徴です。あれが今の日本の姿であり、私たちが覚悟しなければならない現実の隠喩です。

〔大石英司/2022年5月〕

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