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覇権交代4

C★NOVELS

覇権交代4
マラッカ海峡封鎖

大石英司 著

韓国に続きシンガポールも中国に下り、世界が衝撃に包まれる。そしてGPSが使用できなくなった戦場では、中国軍に新たな動きが?

カバー:安田忠幸
新書判/240ページ/定価:990円(10%税込)
ISBN978-412-501401-2


はけんこうたい4
まらっかかいきょうふうさ


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コメント

 冷戦の最中、われわれが一番恐れたことは、マラッカ海峡の封鎖でした。今にして思うと、いささか滑稽ではあります。マラッカ海峡は、日本と中東を結ぶ唯一の海峡ではないし、迂回航路はいくらでも設定できる。その迂回による航海日数の超過は、せいぜい一週間前後です。日本のガソリンは決して安いわけではないけれど、その一週間分のコストを全て末端価格に上乗せしたとしても、物価への影響は微々たるものです。
 しかし、マラッカ海峡の重要性は、それを利用する各国、それを抱える周辺諸国、インドネシア、マレーシア、シンガポールにとっては重大です。アイコンとしての重要さが失われたわけではない。
 似たような問題に、シーレーン問題があります。中国が軍事的覇権で手に入れようとしている南シナ海は、周辺事態法を議論する時にも、錦の御旗として利用されました。しかし、フィリピンの領海内を通らせてもらうだけでも、この問題は回避できる。中国がフィリピン相手に戦争を仕掛けでもしない限り。
 海洋を巡る問題の複雑さは、それぞれの要件自体は、どこか一国にとって必ずしも致命的ではないということです。マラッカ海峡問題しかり、南シナ海の人工島問題しかり。そこで見誤り、アメリカが失敗したのが南沙諸島の人工島問題でした。
 中国は、それを自国のライフラインの最重要課題であり、死活的権益と考えて突き進んだが、アメリカはそうではなかった。そうは思わなかった。中国がそこまで決意が固いとは微塵も思わなかった。気付いた時には手遅れだった。
 私たちが、あの海峡を奪われても余所で代替できると考える一方で、その権益は死活的だと考える国がある。そこに誤解が生まれ、戦争へと至るステップを上がることになる。

〔大石英司/2019年5月〕

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