C★NOVELS
千機もの無人機を退けた日米だったが、事態は思わぬことから急展開することになる。この戦争の結末は、世界の行く末は----?「第三次世界大戦」シリーズ完結!
カバー:安田忠幸
新書判/232ページ/定価:990円(10%税込)
ISBN978-4-12-501386-2 C0293
あっという間に年も明けて、世界は冬期オリンピック・モードです。そして案の定、トランプ政権は「オリンピックがつつがなく開かれ、北と南が対話している限りは軍事攻撃はしない」と、北朝鮮の時間稼ぎに同調してきました。
ロシア・ゲート問題でそれどころではないトランプ政権にとっても、時間稼ぎは好都合です。危機は危機のまま、何か仕事しているように見せるのがベストです。
歴史をひもとけば、朝鮮半島問題というのは、日本にとっていつも頭痛の種でした。江戸時代、対馬藩は日朝の間を取り持とうと苦労を強いられ、明治に入れば、半島を経由してのロシアの南下を恐れた新政府は、朝鮮半島の併合という荒技を繰り出して先手を打った。そのことの是非は論じませんが。
戦後の朝鮮戦争では、韓国側は釜山まで追い込まれ、あと一歩で共産主義の魔の手が日本に及ぶところでした。
そして現代、北からは核の脅威に晒され、韓国の外交は八方ふさがりです。対中国ではミサイル防衛問題で難癖を付けられてどっちつかず。対日本では、慰安婦問題という棘が喉の奥深くに刺さったまま取れない。大国に挟まれて、常に独自外交とは何かを問われてきた。思えば気の毒な国です。
日韓関係の善し悪しはともかくとして、韓国は常に、中国に付こうか日米に付くべきかで揺れ動いてきたのに、われわれは今日までその動きに全く無頓着できました。今年は、その微かな不安が表だって掻き立てられる年になるかもしれません。
〔大石英司/2018年1月〕