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南沙艦隊殲滅 下

C★NOVELS

南沙艦隊殲滅 下

大石英司 著

南沙に現れ、次々と中国軍を襲撃していた敵は、なんと坊津沖で沈んだはずのあの戦艦だった。その鑑へ乗り込んだ司馬らが聞いた、彼らの目的とは? 歴史を変えかねない戦いの行方は----。

カバー:安田忠幸
新書判/224ページ/定価:990円(10%税込)
ISBN978-4-12-501361-9 C0293


なんさかんたいせんめつ げ



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コメント

 米大統領選挙が本番に入りました。共和党で台風の目となっているドナルド・トランプというのは面白い男ですね。民主党候補者のヒラリーにしても、社会主義的傾向が強いサンダースにしても、民主党候補者が良くも悪しくもアメリカという国家の理想を具現化しているのと比べて、トランプはアメリカ人が抱く、しかし普通なら公衆の面前で口にすることははばかられる「本音」で人気を集めている。
 銃で無垢な市民が犠牲になるたびに、銃規制の必要性を訴えるのは、ポリティカル・コレクトネス(政治的公平性)として全く正しい意見なれど、現実にアメリカで起こることは、銃による凶悪犯罪がニュースになるたびに、銃の売り上げは伸びる。
 アメリカは移民社会で、その移民のエネルギーがアメリカを常に活力ある社会にしてきたけれど、今や大学はアジア人だらけ。低賃金労働はヒスパニックに独占されている。どこの国でも、メインストリートにいる人種はそうですが、自分たちはその仕事をやりたくないくせに、「移民に仕事を奪われた!」と恨むのが常です。
 そしてアラブからの移民難民は、そこで暮らす間に差別に苦しみ、その中からホームグラウンド・テロに走る若者も生まれる。トランプが「移民を入れるな!」と叫ぶ姿に快哉を叫ぶアメリカ人は多いことでしょう。なぜなら、それは国民の本音でもあるのに、テレビでは決して言えないことだから。人前では決して議論してはいけないことだから。それを、よりにもよって世界が注目する大統領選挙で、候補者が堂々と口にしている。人気が出ないはずがありません。
 そして共和党では、今2番手に付けているテッド・クルーズも、民主党員から見れば、度し難いほどの宗教右派です。
 さすがにトランプが大統領になる可能性は低いでしょうが、テッド・クルーズが共和党候補者になる可能性はかなり高い。
 対する民主党も穏やかではありません。早々とヒラリーで決まるかと思いきや、サンダースという、あり得ないほど強烈な社会主義的政策を掲げる男が出てきて、資金も組織も盤石なヒラリーに五分以上の戦いを繰り広げています。今アメリカで取り残されつつある中間層、そして若者の支持を得てのことです。
 宗教右派、極端なリベラリスト。いずれも過去の大統領選挙で見てきたお馴染みの風景です。しかし、今度ばかりは、過去のそれとは違う景色を見ているような気がするのは私だけではないでしょう。
 オバマ政権の怠慢が、今日の混乱した世界を招いたことを思えば、アメリカの指導者に誰がなるかは、世界平和にとって大きな関心事です。

〔大石英司/2016年2月〕

BOC
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