第二巻より登場した峯風型駆逐艦、神風型駆逐艦は、全て大正年間に竣工した艦であり、太平洋戦争が始まった時点では、既に旧式化していました。
　艦艇が慢性的に不足している日本海軍は、旧式艦であっても使わざるを得ず、緒戦の攻略作戦の他、哨戒、輸送、船団護衛等に従事しました。
　他の駆逐艦同様、峯風型、神風型も多くが戦没し、終戦時の残存艦は峯風型四隻、神風型二隻（うち一隻は行動不能）のみとなっています。
　余談ですが、作中で第一〇三駆逐隊の司令駆逐艦となっている「疾風」は、史実では日本軍の駆逐艦の中で、最初の戦没艦となりました。
　今回のシリーズでは、これらの駆逐艦に、Ｕボートキラーとして働いて貰うことにしました。
　艦自体は旧式ですが、最新の水中聴音機、水中探信儀等を装備すれば、潜水艦にとっては侮り難い強敵になります。
　戦艦同士の撃ち合いと共に、これら駆逐艦の奮闘も、合わせてお楽しみいただければと思います。

〔横山信義／2022年12月〕