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東シナ海開戦8

C★NOVELS

東シナ海開戦8
超限戦

大石英司 著

水機団上陸作戦で多数の犠牲者を出した魚釣島の戦闘も、ついに最終局面へ。ところがその頃、成田空港に、ベトナム人技能実習生を騙る、人民解放軍の秘密部隊が降り立ったのだった----。

カバー:安田忠幸
刊行日:2021/10/18
新書判/208ページ/定価:1100(10%税込)
ISBN978-412-501441-8


ひがししなかいかいせん8
ちょうげんせん


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コメント

 米中関係が揺れています。揺れているというより、読めないですね。アメリカ側の本音が読めない。たとえば、ウイグル人を巡る問題です。あそこで進行していることは、単なる弾圧を越えてジェノサイド-大虐殺、民族浄化-エスニッククレンジングと言っても過言では無い。
 しかし、それを理由としての北京冬季五輪のボイコット運動は極めて低調です。これは米国に限った話では無く、欧米でも同じで、いわんや日本に於いてはのお話です。
 台湾情勢を巡っても同様で、米国は繰り返し、台湾を巡る中国との協定は守ることを主張している。つまり、台湾は中国の内政問題であり、台湾は国家として認めないという大原則を守ることを表明しているわけです。
 AUKUSという、米英豪の新たな軍事的枠組みが出来たものの、英国が提供できるのは、たかがヘリ空母一隻。オーストラリアなんて、遠く南半球です。彼らが欲しがっている原潜が配備されるのは10年後以降のお話。未だにトランプ旋風が吹き荒れるアメリカが、その頃、自由主義陣営の盟主として君臨しているかどうかすら疑わしい。

 アフガンという赤字路線を恥も外聞も無く切り捨てたアメリカは、いよいよ中国との対決に本気で取り組む! という勇ましい話を、皆さんは真に受けますか? 軍事的に対決すると言いつつ、貿易ではベッタリです。中国の覇権は許さないが、経済的には仲良くやりたい......。こんなのはペテンです。浮気はしたくないが愛人は欲しいと口にしたら、それは単なる支離滅裂、論理破綻です。
 そして、産業革命から帝国主義の時代を経た現代、覇権とは何を意味するかと言えば、それは経済覇権です。軍事力ではありません。軍事力がもはや覇権を意味しないことは、ベトナムと、アフガンと、アメリカが挑んで失敗した二度の戦争を見れば明らかです。
 そして、中国はその経済覇権をすでに成し遂げ、アメリカという老いた帝国に、「中国の軍事覇権は許さないが、経済では互恵関係にある」などと都合の良いことを言わせている。
 この覇権を巡る戦いは、すでに決着している。アメリカはすでに敗北している。中国も今は、全体主義体制下での資本主義システムの維持に苦悩している。
 しかし、われわれは、経済覇権を成し遂げた中華帝国が、この極東で、その軍事力に於いて、アメリカの軍事的覇権をすら凌駕しつつある時代に生きているという事実を直視しなければならないでしょう。

〔大石英司/2021年10月〕

BOC
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