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東シナ海開戦3

C★NOVELS

東シナ海開戦3
パンデミック

大石英司 著

《サイレント・コア》水野一曹は、東沙島からの脱出作戦の途中、海上に取り残される。一方、その場を離れたそうりゅう型潜水艦〝おうりゅう〟は台湾の潜水艦を見守るが、前方には中国のフリゲイトが......。

カバー:安田忠幸
刊行日:2021/1/19
新書判/232ページ/定価:本体1000円(税別)
ISBN978-412-501425-8


ひがししなかいかいせん3
ぱんでみっく


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コメント

 先日、私は自分のブログで、中国海軍の現状認識に関してある考えを書きました。この第3巻に関わるお話です。私はSNSを全くやっていないのですが、珍しくSNS等で引用され、いわゆる軍クラという界隈で話題になったと聞きました。
 そこで私が何を書いたのかと言えば、それは中国海軍の潜水艦戦力と、対潜能力に関してです。
 中国海軍は、過去10年だけでも、駆逐艦とフリゲイトを50隻も建造しました。それプラス2隻の空母を造り、まもなく3隻目も、初の本格空母として進水させようとしている。
 現有勢力で言えば、とっくに海上自衛隊を抜き、今や米海軍の第7艦隊を越えようとしている。世界の誰ひとりとして予想できなかった急拡大、急成長です。
 そんな我が世の春を謳歌する中国海軍にありながら、なぜか置き去りにされている分野があります。一つは潜水艦隊であり、もう一つはそれを狩る側の対潜哨戒機です。
 潜水艦は、せいぜいロシアから細々とキロ級潜水艦を買う程度で、自国で生産した潜水艦は、どれもこれも試験艦程度の隻数しか造られていません。それは、弾道弾を搭載する戦略原潜にしても似たようなものです。
 そして対潜哨戒機、これも試行錯誤が続き、まともな機数を持っているとはとても言えません。潜水艦がいないということは、哨戒機にせよ水上艦にせよ、十分な対潜訓練が出来ないということです。逆にわが国は、今や20隻ものまだピカピカの潜水艦隊を有し、対潜哨戒機も、固定翼、回転翼合わせると、過剰なほどの哨戒能力を持っています。
 なぜ中国は、潜水艦と対潜能力をおきざりにしたのか? 理由はいろいろとあるでしょう。中国沿岸部はどこも大陸棚が尽きる所まで遠浅で、潜水艦の行動には全く不向きです。その浅い海が、接近しようとする日米の潜水艦に対して天然の要害となってくれた。それまで、仮想敵国の潜水艦を意識する必要はなかったのです。
 彼らは今、南シナ海を内海化して、ようやく敵味方の潜水艦が自由に行動出来る(つまり訓練もできる)大海原を手にしたわけです。
 いずれ、そう遠くない将来に、中国も一線級の潜水艦を量産し、十分な性能を持った哨戒機を数百機配備するでしょうが、今はまだ日米の戦力には手も足も出ません。これは中国にとっての、ミサイル・ギャップならぬ潜水艦ギャップとして、もうしばらく、中国海軍を悩ませることでしょう。

〔大石英司/2021年1月〕

BOC
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