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覇権交代5

C★NOVELS

覇権交代5
李舜臣の亡霊

大石英司 著

海南島の加來空軍基地で奇襲攻撃を受けた米軍が壊滅状態に。〈サイレント・コア〉は、陸自戦車部隊に辛くも救われたが----。

カバー:安田忠幸
刊行日:2019/9/18
新書判/232ページ/定価:1078(10%税込)
ISBN978-412-501403-6


はけんこうたい
りしゅんしんのぼうれい


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コメント

 香港が揺れています。連日のように百万人規模のデモが開かれ、とうとう犯罪者の引き渡し条例の撤廃を行政府長官に約束させました。これに対して北京政府は、隣接する深せん(←漢字で書けない)武警や軍などの鎮圧部隊を集め、その制圧訓練の様子を報じて圧力をかけ続けている。
 ところが、当面の目標であった引き渡し条例の撤廃が成し遂げられたにもかかわらず、学生側は、それは五大要求の一つに過ぎないと、デモを止める気配がない。2014年の雨傘革命運動には、指導者がいたが、今回はいません。香港行政府も北京政府も、誰を交渉相手にすれば収まるのか困っていることでしょう。
 雨傘革命が終わった後、香港の民主化運動は、これで終わったと思いました。なぜなら、その後相次いだ書店主の大陸への拉致に関して、香港の世論がほとんど反応しなかったからです。彼らを助けるための動きは極めて穏やかだった。同時に、香港内に北京政府が育てた体制派は、民主化を求める人々の動きを妨害し、それは確実に成果を上げているように見えていました。
 頭の中では、国際社会では何が起こるかわからないという戒めはあったものの、最近の中国の隆盛ぶりを目の当たりにすると、大陸経済との結びつきを捨ててまで、香港市民が自由を求めることはもうないだろうと思っていました。
 香港情勢は、依然として予断を許さない状況です。何もしなければ、北京では、習近平の弱腰が非難されることになる。他方、香港情勢にはほとんど関心を払わないトランプ政権ですが、ひとたび武力介入がなされたら、あらゆる貿易制限措置が取られるような法案が米議会で審議されています。それが実行されたら、もちろん日欧も従
うことになります。天安門事件の頃とは比較にならない衝撃が世界を見舞うことになる。中国は今や世界の台所であり生産地です。中国との貿易が止まったら、百均の棚から商品が消え、新しいスマホも買えなくなる。
 ことは、一香港の行く末のみならず、世界経済に大打撃を与えることになる。
 個人的には、条例案撤回を成果として、民主化デモがひとまず終息へ向かうことを期待していますが、さてこればかりは、予測が付かない。全員が、冷静さを発揮してくれることを祈るのみです。

〔大石英司/2019年9月〕

BOC
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