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大統領奪還指令5

C★NOVELS

大統領奪還指令5
偽旗作戦

大石英司 著

アラスカ・アンカレッジでは中露軍に司馬率いる自衛隊水機団が対峙していた。一方、米軍は中国への報復として戦闘艦を撃沈。ついに大統領もターゲットに......。ますます混迷を深める第5巻!

カバー:安田忠幸
新書判/216ページ/定価:1265円(10%税込)
ISBN978-412-501496-8


だいとうりょうだっかんしれい5
にせはたさくせん


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コメント

 新聞やテレビ局の世論調査で、「減税すべきだと思いますか?」と聞いたら、100人中90人が「イエス」と答えるでしょう。当たり前のことです。個人は身勝手で、財政規律など知らないし、全体益などというものは考えない。日本の財政がどういう状況かなんて、市井の民衆は考えもしないし、関心も無い。
 インフレ時に減税だの給付だのをすれば、更にインフレを加速する。経済学の教科書にはそう書いてあり、日本の公務員試験でも出る。そして、アメリカでは、最近それをやってしまい、民主党政権は倒れてトランプ政権が誕生しました。
「福祉予算を増やすべきですか?」と聞いたら、100人が即答して頷くのと同じことです。
 しかも国の借金が増えることで、国債借換の金利負担は膨らみ、外資は売り浴びせてくることになる。じり貧を回避しようと足掻いてどか貧になることは避けられない。
 それでもそうすべきか? 仮に、その身の丈を超えた借金が可能だったとしましょう。財政には限りがあって、無い袖は振れない。日本はすでに毎年、税収や、社会保険料という名の、明らかな税金で得られる稼ぎの倍の国家予算を組み、その半分を赤字国債で賄っている。つまりは将来の借金。その借金を返済するのは、現役世代であり、まだ生まれてもいない子供たちです。
 少子高齢化社会では、生まれて来る僅かな子供たちに、その借金が重くのしかかる。年金世代は、後は逃げ切るだけなので、当然、その莫大な借金も気にすることはありません。ただくれくれ! 遣せ! と要求するだけです。人間は本来、利己的な生き物です。
 それが最も顕著に表れたのが、トランプ政権だとも言えます。しかし、トランプが打ち出す政策のほとんど全てが、彼を熱狂的に支持した国民を苦しめるだろうという事実を、当の国民が知るにはまだまだ時間が掛かることでしょう。
 大衆が、それを操る術を熟知した一握りの独裁集団に熱狂するのは、第二次大戦で終わったと思っていた。人類は、それから80年、民主主義の叡智を磨き、政治は日々より良くなり、民衆は賢くなり、暮らしは豊かになると期待された。
 しかし、現実は、民主主義は劣化し、今も世界中で独裁者が跋扈している。民衆は、最新のツールを使いこなす扇動者たちの虜になった。
 私たちは、21世紀を生きているのか? それとも、1930年代を再演しているのか? 残念ながら、後者であると言わざるを得ません。

〔大石英司/2025年5月〕

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