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アメリカ陥落8

C★NOVELS

アメリカ陥落8
暗黒の夏

大石英司 著

全米に広がった暴動の末、大統領が辞任を発表、さらに陸軍の英雄マッケンジー大佐の煽動により正規軍が反乱した! アメリカの分断がもたらすのは破局か、それとも。緊迫のシリーズ最終巻!

カバー:安田忠幸
新書判/224ページ/定価:1210円(10%税込)
ISBN978-412-501483-8


あめりかかんらく
あんこくのなつ


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コメント

 総理大臣が代わる。岸田さんが降りる。岸田さんは、自民党の裏金問題の責任を取って総理の職を辞することになった。自民党総裁選には、過去最多の9人もの候補者が名乗り出ての議論が始まった。
 一方の野党第一党、立憲民主党でも、党首選が始まった。驚くべきことに、この両党の党首選挙は酷いペテンである。両者ともに国民を欺くペテンとしか言いようがない。
 たとえば、自民党候補たちが上げている自民党政治の刷新など絵に描いた餅も良い所だ。それはもはや「泥棒に縄をなわせる」がごとき話である。古語として、このような表現はなく、これは最近の造語らしいが......。国民は、自民党に清心な政治など期待していない。それがない物ねだりだということは解っている。国民が自民党に求めているのは、強欲だが腕は良い名医としての仕事である。ところが、ほんの一人、安倍に嫌われ続けた石破氏を除いては全員、安倍政権下で枢要なポストに就き、引き立てられた人々である。その彼らが、なぜか刷新とか、所得倍増とかをぶち上げている。自分たちが政権内にいた時は、全く気にも留めず、しかも安倍政権としてそれらを目指して失敗したのに。彼らほぼ全員が、日本経済の悲惨な現状に責任を負っている。にも関わらず、どの面で、経済成長や景気を語るのか?
 対する、立憲民主党も五十歩百歩である。こちらはもう、はっきりしている。人当たりがよく人格者だが、とんだ藪医者である。片っ端から患者を殺して来た。医学の知識など皆無に等しく、ひたすら「くれくれ!」である。有権者へのバラマキしか頭に無い。その財源はどうするのか? それ所か、消費税減税まで口にしている。言っていることが支離滅裂である。
 まだしも、ばらまく一方で、社会保険料の負担増でステルス増税をやってのける自民党政治の方がましである。
 そう。問題は、膨れ上がる社会保障をどうするのか? その負担をどうするのか? である。
 日本の社会保障予算がどれほど巨額か? 一日置きに、イージス護衛艦を建造して進水させているほど巨額である。つまり年間で建造すると、180隻からのイージス護衛艦が造れるほどの巨額な予算を社会保障に注ぎ込んでいる。私は、この計算が正しいかどうかを何度も計算した。その半分は赤字国債という名の隠れ借金であり、それとは別に、今日まで借金し続けた分、つまり国債の利払いも行っている。
 そして団塊世代が一気に後期高齢者となるこれから、その社会保障予算は、さらに激増することになる。これは避けられない。もうすでに決まった話である。その驚くほどの負担増を、これから減り続ける子どもたち、減り続ける生産年齢人口で維持しなければならない。もちろんそんなことは無理だ。不可能だ。
 これは、ビジネスや政治学、経済学で言う所の、エレファント・イン・ザ・ルーム、「部屋の中の象」と呼ばれる現象である。
 テーブルの上に象が鎮座している。その場にいる全員が認識しているはずなのに、ことがあまりに大きすぎて、誰もそのことを議題に出来ない、触れることもせず、タブー視して、逆にどうでもよい些末な問題にばかり拘泥する状況を言う。このことには、大新聞も加担している。国民の大多数もそうだ。マスなメディアもその象を見ないふりをして、われわれは、今日もペテンな喜劇に付き合っている。
 私たちは、アメリカの分裂を笑えない。中国のバブル破綻も、ロシアの乱暴狼藉も笑う資格はない。国民自身が当事者能力を喪失しているという部分では、21世紀の政治は、どの国も同じである。

〔大石英司/2024年9月〕

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