C★NOVELS
米中の戦いの舞台は海南島へと移った。韓国軍の戦車も参戦し、事態は一層の混迷を極める中、サイレント・コア姜小隊が絶体絶命に?
カバー:安田忠幸
新書判/232ページ/定価:990円(10%税込)
ISBN978-412-501398-5
ハイブリッド戦争、怖いですねぇ。これが自動車のエンジンの話なら日本はぶっちぎりで優勝、圧勝なのですが......。現状、一人勝ちなのはロシアです。ウクライナ情勢に留まらない。何しろアメリカの大統領選挙に介入して、見事にちゃぶ台をひっくり返してしまったのですから。ロシアは、一発の銃弾も発することなく、アメリカを世界から引っぺがすことに勝利した。これを勝利と言わずして何を勝利だと言えば良いのか。
アメリカばかりか、ロシアには日本もやられています。北方領土問題を巡っては、日本政府は、まるで借りて来た猫のように大人しく縮こまっている。
そして中国も昨今、腕を磨きつつあります。ファーウェイを巡るカナダでの逮捕劇を巡っては、中国は速攻で動き、滞在中のカナダ人を大量逮捕して報復しました。かつて、尖閣問題の時に日本がやられた手です。カナダはまさか、アメリカに代わって火中の栗を拾い、こんな羽目になるとは思ってもみなかったことでしょう。
敢えて国名は出しませんが、道徳心や人道を持ち出して世界を舞台に我が国にハイブリッド戦争を仕掛けている国もあります。
世界はそうして、武器以外の手を使って戦いを仕掛け、自国の利益を追求しようとしているのに、相変わらず「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して」のほほんと暮らしているのがわれわれ日本です。
幸い、これまでは数多の幸運に恵まれ、平和と繁栄を享受して来ましたが、明日以降もそれが続くかどうかは甚だ疑問な所です。
貴方が知らないところで、すでにハイブリッド戦争は起こり、私たちがたわいも無いと黙殺するSNS上の些細なさざ波が、その鋭い武器になっているのです。
〔大石英司/2019年3月〕