C★NOVELS
韓国の離反が、アメリカの威信を傷つけ激怒させた。また韓国から襲来した玄武ミサイルにより大きな犠牲が出た日本も、対応を迫られ?
カバー:安田忠幸
新書判/232ページ/定価:990円(10%税込)
ISBN978-412-501394-7
今年1年を振り返ると、国際的、そして日本の周辺国的に最も大きなニュースは、米朝のミサイル協議でしょう。トランプ政権は、その成功を演出することに躍起なわけですが、北朝鮮では、既存のミサイルや核関連施設が華々しく破壊される一方で、新たな施設が建設されていることも事実です。米朝ミサイル協議に楽観できる要素は何もない。
そして日韓関係は、徴用工判決問題もあり、日々、これ以上悪化しようのない状況が続いています。そこは、平成が終わっても改善されることは期待薄です。北方領土を巡っては、外交成果を急ぐ日本側の足下を見透かされてばかりです。
皮肉なことに、貿易戦争をちらつかせて高額兵器を押し売るアメリカと比べて、ほとんど唯一、日本外交でうまく回っているのが日中関係です。尖閣問題では未だに領海侵犯が続き、世界中に厄介事の種をまき散らしている中国との関係が、他と比べて一番ましに見えてしまえる現状は、日本を巡る世界情勢がいかに過酷かを物語っています。
国内に目を向けると、景気は相変わらずなのに来年は消費税が上がります。今年は、LGBTやヘイト発言を巡って、表現の自由に関して考えさせられた年でもありました。
世の中の出来事は、およそ複雑で、正誤や賛否を明快に言える出来事など僅かです。それを、情報が瞬時に拡散するSNSが、全てを単純化してマスに届けている。それがもたらす歪みは、やがてトランプ政権誕生のような混乱を社会にもたらすことでしょう。
ヒットラーを生み出したのも、トランプ政権を生み出したのも、民主主義であり選挙制度だった。民主主義は、共産主義よりは遥かにましなシステムではあれど、それが欠陥だらけであることは忘れるべきではありません。インターネットは便利だけれど、所詮はツールに過ぎないことは承知すべきです。
〔大石英司/2018年12月〕