C★NOVELS
香港に、絶大な人気をもつ改革の女神・姚芳芳が帰ってきた! 民衆が沸き上がる中、もうひとつのニュースが世間を揺るがす。それは海南島への自衛隊上陸......。米中の暴走は加速する。
カバー:安田忠幸
新書判/240ページ/定価:990円(10%税込)
ISBN978-4-12-501379-4 C0293
世の中には、想定外の事態というのが時々起こってしまいます。トランプ政権の先行き不安、北朝鮮の情勢、さらには、国有地払い下げ問題で揺れる国内政治に関して、この欄で触れたのはつい五ヶ月前のことでした。
今日、これを書くに当たり、前回のテキストを読み返して見たら、まるで酷いデジャヴに囚われたかのような既視感を覚えました。
前回、北朝鮮は、指導者の身内の暗殺という形で世界を驚かせた。そして今は、遂にアメリカ本土へ届くICBMの開発で、世界を揺さぶっている。北朝鮮のミサイル開発は、悲観的な西側の専門家が見積もるもっとも過大な推測より、遥かに速いペースで進んでいます。
そしてトランプ政権の状況。すでに政権発足後半年を過ぎるにもかかわらず、政府の重要ポストの多くが埋まらず(その中には、国務省のアジア関係のポストも含まれる)、閣僚はくるくる交代し、大統領本人にも弾劾の影がちらつく。
さらに日本は、あれだけ盤石を誇った政権が、身から出た錆とは言え、支持率を大幅に落として、何も出来ない状況に陥っている。
僅かな救いは、経済を巡るいくつかの指数がやっと上向いた点であれど、肝心の消費は冷え込んだままで、デフレ脱却にはほど遠い状況です。
こんな中で、われわれは出口の無い北朝鮮問題や、機能不全のアメリカにつけ込む中国、そして貿易問題の舵取りも強いられている。
このシリーズが終わる頃、自国を含めて、状況が更に悪化していないことを祈るのみです。せめて一つくらい好転していることを!
〔大石英司/2017年8月〕