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台湾侵攻8

C★NOVELS

台湾侵攻8
戦争の犬たち

大石英司 著

奇妙な膠着状態を見せる新竹地区にサイレント・コア原田小隊が到着、その頃、少年烈士団が詰める桃園国際空港には、中国の傭兵部隊がAI制御の新たな殺人兵器を投入しようとしていた......

カバー:安田忠幸
刊行日:2023/1/19
新書判/224ページ/定価:1100(10%税込)
ISBN978-412-501460-9


たいわんしんこう8
せんそうのいぬたち


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コメント

 1年前のこの時期、世界のこの状況を想像できただろうか? と思います。そもそもわれわれは、1年前、ウクライナを巡る状況で何を語っていたのだろうか? そう思うほど、昨日という日は遠くなってしまった。戦争は、時間という概念をあっという間に風化させてしまう。
 1年前、いったい何が起こっていたのかを知るために、私は自分のブログを読み返して見ました。2022年の1月、後半は、ほとんど毎日のようにウクライナ情勢を巡るニュースを扱っています。
 中で、気になるニュースがありました。ロイターが1月21日に報じた記事で〈ロシアがウクライナ越境なら「侵攻」、バイデン大統領改めて表明〉、というものがありました。
 この記事は、ググれば今でもロイターのサイトで読むことが出来ます。
 バイデンは、その直前に、「小規模な侵攻であれば、代償も小規模にとどまる」可能性を示唆する発言、というより口を滑らせてしまい、当事者のウクライナを始め、世界中からフルボッコに遭い、本人も弁明に追われることになりました。
 この発言に、プーチンは多いに勇気づけられたことでしょう。戦争は、始まってみれば、指導者のあの一言が、最後のハードルを取っ払ってしまったということがしばしばあります。
 湾岸戦争では、駐イラク大使のグラスビー女史の「アラブの戦争にアメリカは介入しない」という主旨の発言が、フセインの背中を押したと批判された。

 そして今次のウクライナへの侵略でも、世界は過ったメッセージをプーチンに発し続けた。
 ドイツは1月末に、武器をくれ! と訴えるウクライナに対して、5千個のヘルメットを供与すると発表してウ国民を失望させ、その前の週には、ドイツ海軍司令官が「ロシアによるウクライナ侵攻などない、そもそも中国と対峙するためにロシアと組まなきゃならないのに」と口を滑らせて首になった。
 この時期、欧米は口先介入を繰り返すばかりで、西側の指導者や軍首脳は、誰ひとり、ロシアによるウクライナ侵攻を真に受けなかった。
 すでに始まった戦争を止めることは至難です。それはどちらかが斃れるまで、誰も止めることは出来ない。けれど、始まる前に、皆が一致団結して、正しいメッセージを送ることができていたなら、この戦争も止められたかも知れない。
 このことは、台湾を巡って、われわれへの警告となるでしょう。ヨーロッパの判断ミスが招いたこの事態を、極東で繰り返さないために。

〔大石英司/2023年1月〕

BOC
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