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井上幸治 著
明治十七年秋、明治国家がまさに確立せんとする時期、秩父盆地を中心舞台に武装蜂起し、一時「無政の郷」を現出した農民たちのエネルギーは、どのようにして生まれたのか。事件の策源地に生まれ育ち、この事件を歴史家としての原点と考える著者は、困民党の反権力意識、行動形態、組織など、事件において農民たちの主体的基盤をなしたものを解明する。ここには、商品経済の波にのみこまれた農民の変革精神が生き生きと流れている。