ホーム > 中公新書 > 流浪の戦国貴族 近衛前久
谷口研語 著
朝廷最高の官職の家柄に生まれた近衛前久(一五三六~一六一二)は、群雄割拠する戦国時代に自ら身を投じた。上杉謙信と盟約を結んで関東に下り、その後は織田信長と密接な関係を築いて大坂本願寺との講和などに貢献。豊臣秀吉の関白就任にも関与し、家康の叙任や徳川改称について朝廷に斡旋するなど、公家でありながら武家に伍して旺盛な活動を展開した。乱世に奔走した彼の軌跡から、転換期の様相が見えてくる。