2020 12/17
編集部だより

オンラインと対面と

感染症の拡大でいろいろなことが変わった今年。私たちの仕事に関係するところでは、学会講演会、サイン会などが軒並み中止やオンライン開催になり、著者の方々と直接お会いできる機会が減ってしまいました。

そんななか、12月半ばの日曜日、横浜の神奈川近代文学館で小島ゆかり・辻原登・長谷川櫂各氏による公開連句会が開かれました。五・七・五の長句と七・七の短句を互い違いに組み合わせて詠む連句(ルールの詳細は、辻原登・永田和宏・長谷川櫂『歌仙はすごい』をご参照ください)。今回は第六句までを先生方が事前に詠み、7句目から18句目までを参加者が当日に投句、先生方が撰を務める、という流れ。

参加者は大学生から高齢者まで、60名弱というところでしょうか。座席の間隔を空け、トイレは3人までに入場制限、ペンやマイクは使うたびに消毒するなど、会場の感染症対策は徹底していました。大声で騒ぐようなイベントでもありませんが、これなら年配の人も安心して参加できそうです。小島さんも冒頭の挨拶で、「オンラインの歌会ばかりでこういう集まりは久しぶりなので、今日はとても楽しみです」。

制限時間3分で句を作る、というのはなかなか大変で、3時間の長丁場を終えると何だかぐったり。フロアの一参加者という気楽な立場であっても、緊張感と本気度(?)はオンラインとずいぶん違うものでした。

もうひとつ、あらためて実感したのは、連句、さらには俳句が「座の文芸」であるということ。などと書くと大げさですが、オンラインでは誰かが話すと全員が聞かなければならず、スピーカーを差し置いて雑談できるのは対面による「座」ならでは。雑談とはこんなに楽しく、また勉強になることだったのですね。

ワクチンの成否はともかく、今のような状況はしばらく続きそうです。オンラインと対面、それぞれの長所をうまく活かしていきたいものです。(一)