- 2022 07/11
- 著者に聞く

(その1)から続く

ゴミグモなど多くのクモは下向きですが、ギンメッキゴミグモは上向きです。
中には個体によって向きが異なるクモもいます。それがこのヤマトゴミグモです。このクモは横向きですね。横向きが多いですが、隣には上向きのヤマトゴミグモがいました。

危険を感じたとき、死んだふりをするクモもいれば、色を変えるクモもいます。
これはキララシロカネグモです。金色で美しいクモですが、興奮すると腹の部分が黒っぽくなります。捕食者を驚かすというより、目立たない色に変化して逃げるためでしょう。

これはジョロウグモの網です。
ジョロウグモというと、みなさん、大きな網を想像するのですが、あれは秋のジョロウグモで、春には網もクモもまだこんなに小さいのです。小さいのですが、ジョロウグモの網の特徴である3枚の網をしっかり張っています。
そのままでは網が分からないので、クモには迷惑でしょうが、スプレーで水を吹きかけると網がはっきり見えます。

網を張るクモを見つけるのは簡単ですが、歩き回って獲物を捕らえる徘徊性のクモはそうはいきません。葉の表を動き回っているクモもいれば、じっとしているクモもいます。クモだと思って近づいても、他の虫だったということはよくあります。
これはネコハエトリの雌です。雄は千葉県や神奈川県でクモ合戦の戦いに使われます。

葉の上にじっと獲物を待っているイオウイロハシリグモです。
このクモは同じ種とは思えないほど模様がいろいろあります。水辺の葉の上でよく見られます。夏の終わりごろには、このクモの子供たちが大集団で集まっている「まどい」を観察できるでしょう。
葉の裏にもクモが隠れていることもあります。
葉をそっと裏返しにしてみてみましょう。この大きなヤツデの葉裏は雨が当たらないため、いろいろなクモが隠れていたり、産卵場所として利用したりしています。

あっ、いました。これはウロコアシナガグモです。母親が卵嚢を守っています。ヤツデの葉裏によく見かけます。ちいさな平円網を張るクモです。

アリグモは葉の表や裏をあちこち徘徊しているクモです。
ちょっと見ただけでは、ほんとうにアリのようでしょう。『クモの世界』にも書きましたが、捕まえようとすると糸を出して逃げるので、クモと分かります。
この個体は雄で上あごが大きく発達しています。何かに襲われたためか、第4脚が片方欠けています。幼体では脚が欠けると脱皮の旅に少しずつ再生してきます。

クモを探すコツは葉の上や裏を見るだけではありません。
写真のように、葉が糸でくくられているときは、中にクモが潜んでいる場合があります。この写真ではフクログモ類の幼体がいました。
このような住居はハエトリグモ類やフクログモ類などで見られます。毛虫も似たような住居を作りますが、慣れると糸の違いで分かります。葉が折りまげられていたら注意して見てください。
(その3)に続きます