2016 11/25
私の好きな中公新書3冊

知のマップを描くために/山本貴光

樺山紘一編著『新・現代歴史学の名著 普遍から多様へ』
川喜田二郎『発想法 創造性開発のために』
加藤文元『物語 数学の歴史 正しさへの挑戦』

知はバラバラであるよりも、関連づけることでいっそう大きな威力を発揮する。中公新書には、そのことを教えてくれる好著が多い。

なかでも創刊第一号の『日本の名著』や姉妹編『世界の名著』をはじめとする「名著」シリーズは、各領域の読むべき本を教えてくれる得がたいブックガイドだ。選ばれた本の組み合わせから、それぞれの本の位置や価値を示す文脈も見えてきて土地勘もできる。ことに『新・現代歴史学の名著』のように旧作を更新・補完する試みはありがたい。

中公新書には知の技法を惜しみなく教えてくれる名著も少なくない。私自身、かつて『発想法』で学んだ手法は、現在にいたるまで、本を書く際はもちろんのこと、ゲーム制作その他の場面でおおいに役立っている。知を集め、考え、結びつけ、分類し、書くこと。ここには、いつまでも古びることのない方法が示されている。どなたも必読の1冊と申し上げたい。

各方面の歴史本が揃っているのも中公新書の魅力だ。知識については、とかく最新の結果だけ受けとるのが効率的に見えたりもする。高校数学の公式はその一例。でも、誰がどんな問題に取り憑かれてそんな発想をしたのかを知らなければ、公式の必要性や意味も分かり難い。たとえば数学の教科書の隣に『物語 数学の歴史』を置いてみよう。知っていたつもりの数学の印象ががらりと変わって俄然面白くなること請け合いだから。

最後に番外で中公新書の目録をおすすめしよう。というのも、この1冊こそが、多様な知のつながりへと人をいざなう、なによりの入り口にしてベースになるからであります。いますぐ入手を!

山本貴光(やまもと・たかみつ)

文筆家・ゲーム作家。1971年生まれ。ゲーム会社勤務を経て、2004年からフリーランス。現在、モブキャストとプロ契約中。著書に『コンピュータのひみつ』(朝日出版社)、『文体の科学』(新潮社)、『「百学連環」を読む』(三省堂)。共著に『脳がわかれば心がわかるか』(太田出版)、『問題がモンダイなのだ』(ちくまプリマー新書)など。訳書にジョン・R・サール『MiND』(朝日出版社)などがある。