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伊東潤 著
明治四一年(一九〇八)生まれの、坂田留吉には出生の秘密があった。景勝地・江ノ島の裕福な家で育ちながらも、自らの過酷な運命と彼は向き合う。そして、激動の時代の中、関東大震災や二二六事件に遭遇し、中原中也や石原完爾たち、時代の巨人たちと出会い、人間として成長してゆく留吉。だが、坂田家にある日、陸軍士官である長兄の慶一が、満州で行方不明になったとの報せが届く。兄を捜すため、新聞記者として野望渦巻く満州に渡った留吉を待ち受けるものは――。