近代日本比較文化史研究
芳賀徹 著
江戸時代中期から明治維新前後、西洋文明との邂逅により新技術・新知識がもたらされ、さまざまな知識人の旺盛な好奇心と自由な精神が発露した。本書は、蘭学・博物学・美術など文化の諸相に比較文化の視点からアプローチし――たとえばデューラーと谷文晁、宝島』の作者スティーブンソン描く吉田松陰の肖像など――、それらを密接に結びつけて論ずる中で「パクス・トクガワーナ(徳川の平和)」の内なる躍動がダイナミックに浮かび上がる。「Ⅰ 静止から運動へ」は十八世紀篇。平賀源内、杉田玄白、司馬江漢……徳川日本の知的戦士たちによって時代は静かに目覚め始める。