2021 03/08
中公新書の60年

1968年の中公新書

秩父事件 自由民権期の農民蜂起明治十七年秋、明治国家がまさに確立せんとする時期、秩父盆地を中心舞台に武装蜂起し、一時「無政の郷」を現出した農民たちのエネルギーは、どのようにして生まれたのか。事件の策源地に生まれ育ち、この事件を歴史家としての原点と考える著者は、困民党の反権力意識、行動形態、組織など、事件において農民たちの主体的基盤をなしたものを解明する。ここには、商品経済の波にのみこまれた農民の変革精神が生き生きと流れている。

井上幸治(いのうえ・こうじ)1910-89。歴史学者。神戸大学・津田塾大学・立教大学教授を歴任

この年のできごと1月 東京五輪に続きメダルを期待された男子マラソンの円谷幸吉自死
同月 プラハの春始まる。8月にはソ連などが軍事介入(チェコ事件)
4月 米黒人指導者キング牧師、暗殺される
6月 小笠原諸島がアメリカから日本に返還
12月 東京・府中で三億円事件。1975年時効が成立し未解決事件に
同月 川端康成、日本人初のノーベル文学賞受賞

この年のラインナップ鶴田正一著『事故の心理』
荒正人著『ヴァイキング』
木間長世著『リンカーン』
嘉治元郎著『現代のアメリカ経済』
西丸四方著『病める心の記録』
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村瀬興雄著『ナチズム』
石田繁之介著『超高層ビル』
前田陽一著『パスカル』
林周二著『数学再入門II』
松浦玲著『勝海舟』
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今井隆吉著『科学と国家』
大木英夫著『ピューリタン』
井上幸治著『秩父事件』
大島直政著『遠くて近い国トルコ』
芳賀徹著『大君の使節』
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増田義郎著『メキシコ革命』
小川鼎三著『解体新書』
村松暎著『中国列女伝』
東大十八史会編『学徒出陣の記録』
木村尚三郎著『歴史の発見』
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大江志乃夫著『木戸孝允』
小宮隆太郎著『ヨーロッパ経済の旅』
杉勇著『楔形文字入門』
柴垣和夫著『三井・三菱の百年』
秋山光和著『王朝絵画の誕生』
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中山正和著『カンの構造』
白井泰四郎著『企業別組合』
中埜肇著『ヘーゲル』
懸田克躬著『愛について』
安本美典著『神武東遷』