2018 08/24
私の好きな中公新書3冊

"何か"が本には存在する/胡桃沢まひる

佐藤淑子『イギリスのいい子 日本のいい子 自己主張とがまんの教育学』
對馬達雄『ヒトラーに抵抗した人々 反ナチ市民の勇気とは何か』
熊木徹夫『精神科医になる 患者を〈わかる〉ということ』

妄想キャリブレーションの胡桃沢まひるです。今回アイドルという観点からではなく、中の一人の人として私が読んで“何か”を得た作品を紹介したい。

私がまず読んだのは佐藤淑子著の『イギリスのいい子 日本のいい子』。これは私が以前通っていた大学で心理学を学んでいたため「教育心理学を深く学びたい、将来に役立てたい!」と思い選んだものである。

この本の中には私が常々考えていた「なぜ日本人は自己主張をせずに自分を抑制してがまんを選ぶのか?」という疑問のヒントが隠されている。カウンセラーを通して行われた実験に基づいてイギリス人・日本人・アメリカ人と教育のあり方、そして環境に沿った人間としての育て方がありありと書かれている。まひる的にはやっぱりイギリス人的な育て方をしたいなぁとこの本を読んで考えさせられてみたり。(どんな教育方法かはこの本を読んでみて欲しい、心理学を勉強していなくても読みやすい。)

次に對馬達雄著『ヒトラーに抵抗した人々』を挙げたい。『アンネの日記』を読んで忘れられないこのナチスドイツの歴史を、反ナチとして立ち上がった勇気を、もっと知りたく手に取った。ドイツ人ならばヒトラー独裁のもと賛同していれば事なきを得たであろうに、自分の中で芽生えた“正義”を絶えず掲げて守り抜き亡くなった人がいる。自立を訴え立ち上がる勇気、自分が考えたものを「正しい」と言える勇気を持つことを教えてくれた大切な一冊である。

そして最後に熊木徹夫著の『精神科医になる』。精神科医やカウンセラーとしての知識を教えてくれた本。患者に親身になる事だけが正解ではない、精神科医すらも参ってしまう自体がザラにあるという事実も具体案と共に教えてくれた。感情移入しやすい性格なので、こんな私でもカウンセラーとして働けるのでは……? と希望を抱かせてもらった。

上記3つの中に少しでもあなたの興味を惹くものがありますように。是非受け取ってください。

胡桃沢まひる(くるみざわ・まひる)

1993年生まれ.でんぱ組.inc等を輩出した秋葉原ディアステージ発のアイドルグループ『妄想キャリブレーション』メンバー.趣味は読書.心理学検定2級,メンタルケア心理士の資格を所持.
初のメジャー・アルバム『妄想道中膝栗氣』(ソニー・ミュージックレコーズ)発売中.