皇室典範―明治の起草の攻防から現代の皇位継承問題まで
笠原英彦 著
伊藤博文の主導で制定された明治の皇室典範。女帝・女系容認の可能性もあったが、皇位継承資格は「男系の男子」限定で、退位の規定もない。その骨格は戦後の皇室典範でも維持された。皇族男子の誕生は極めて稀で、皇族数の減少も続き、制度的矛盾が顕在化して久しい。小泉内閣時代に改正の検討が始まるも、進展はいまだ見えない。本格的議論の再開に向けて、皇室制度の専門家が論点を整理し、法改正への道筋を探る。
目次
- はじめに
- 第一章 明治皇室典範の起草をめぐる攻防
- 一、伊藤・シュタイン「邂逅」と柳原前光
- 二、伊藤の体制刷新と柳原の失速
- 三、高輪会議とは何だったのか
- 四、皇室典範の成立と保守派との攻防
- 第二章 戦後の皇室典範制定
- 一、皇室の命運と知日派の台頭
- 二、占領統治と「国体護持」をめぐる攻防
- 三、現行皇室典範が抱えた矛盾――皇位継承と退位
- 四、狙われた皇室財産と皇籍離脱
- 第三章 顕在化した構造的矛盾
- 一、皇位継承問題とは何か
- 二、少子化と制度疲労
- 三、「生前退位」から典範改正へ
- 第四章 象徴天皇制の新たな危機
- 一、戦後政治と昭和天皇
- 二、「象徴天皇」の模索
- 三、象徴天皇制と典範改正
- あとがき
- 参考文献
- 皇室典範(明治典範)
- 大日本帝国憲法(抄)
- 皇室典範(現行典範)
- 日本国憲法(抄)
- 天皇の退位等に関する皇室典範特例法
- 天皇系図
書誌データ
- 初版刊行日2025/1/22
- 判型新書判
- ページ数256ページ
- 定価990円(10%税込)
- ISBNコードISBN978-4-12-102840-2
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