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独仏関係史

独仏関係史三度の戦争からEUの中核へ

川嶋周一 著

ドイツとフランスは、19世紀から20世紀にかけての70年間に3度も戦争を繰り広げ、不信と憎悪を募らせた。しかし、その後の両国は徐々に和解への道を歩み始め、EUの基盤を築いていく。なぜ、協調は可能だったのか?本書は、ド・ゴール、アデナウアー、ミッテラン、コール、メルケル、マクロンなどの政治指導者の政策、民間外交の動きなどを一望。因縁深い両国の関係を通し、欧州の歴史をたどり、展望を示す。

目次

まえがき―独仏関係という視角
序 章 憎しみ合う双子―敵対関係の成立
一九世紀以前に「独仏関係」はあったのか?/「初めにナポレオンありき」/一九世紀初頭から中盤までの推移/独仏戦争という出発点/帝国主義時代の接近と対立
第1章 先祖代々の宿敵へ―二つの大戦にかけての対立
1 宿敵関係の成立―第一次世界大戦
第一次世界大戦の衝撃/大戦の展開/パリ講和会議とその帰結
2 解決できなかった対立―戦間期
「戦争に勝利するよりも、平和を得る方が難しい」/①賠償、ルール問題と独仏の対立/ラインラント占領からルール占領へ/②ロカルノと相対的安定/ ③関係修復の試みと失敗/下からの協調の模索/④ナチの登場と戦間期秩序の崩壊
3 三度目の衝突―第二次世界大戦
奇妙な敗北/「新秩序」の中の独仏関係―一つのドイツと二つのフランス/自由フランスの戦後対独構想
第2章 第二次世界大戦からの再出発とその限界―冷戦からドイツ分断へ   
1 フランスの対独強硬路線の継続
フランスの二つの対独路線とド・ゴールの対独観/ライン地方分離の試み/強硬路線の敗北
2 西独成立とフランスの対独政策の行き詰まり
戦後ドイツ外交の与件とアデナウアー路線の登場/ヨーロッパ統合と独仏関係/冷戦、西独建国とフランス外交の転換/「父親は冷戦だった」
3 ザール問題
「ザール問題」の発生/ザールの「独立」/疑似独立国家として
第3章 関係改善と安定化へ向かって―シューマン・プランとヨーロッパへの埋め込み
1 シューマン・プランという転換点
「ヨーロッパは一瞬で実現するわけではありません」/境界人シューマン/三元連立方程式の解として
2 戦後ヨーロッパ国際秩序への埋め込み
西独再軍備問題とEDC/ザール問題の解決へ/ローマ条約交渉と独仏対立/スエズの衝撃と独仏対立の解決
3 独仏和解を求める民間交流
ドゥ・リヴォとBILD・GüZ/ローヴァンと「ドイツは私たち次第だ」/グロセールと「新生ドイツとのフランス交流委員会」/ドイツ側の動き/誰が和解を進めたのか/政府間文化交流の限界
第4章 エリゼ条約の成立―ド・ゴール、アデナウアーと友好の制度化
1 ド・ゴール=アデナウアー時代の始まり
コロンベでの邂逅/ド・ゴール外交の展開/政治同盟構想/MLFをめぐる確執
2 批准への道のり
相互首脳会談/両国の内政の変化/ド・ゴールの記者会見と条約の成立/批准をめぐる問題
3 エリゼ条約後の漂流―アデナウアー退任後の景色
ド・ゴール=エアハルト期/ド・ゴール=キージンガー期
第5章 独仏コンビの時代―七〇年代から八〇年代にかけての「枢軸」化
1 ポンピドゥー=ブラント期
新東方外交/流動化する国際情勢/悪化する独仏関係
2 ジスカール=シュミット期
ジスカール=シュミット間の緊密な関係/通貨統合への取り組み/西側世界を股にかけて/さらなる高みを目指して
3 ミッテラン=コール期
ミッテラン時代のプレリュード/困難な出発/独仏モーターへの転換/ヨーロッパ統合の深化と独仏関係の提携強化/安全保障・防衛領域での提携の試み
第6章 新しいヨーロッパを求めて―統一ドイツの登場と冷戦後の模索
1 冷戦の終焉
統一の進展と統一ドイツの未来像をめぐる争い/再統一過程の中の独仏関係とEUの誕生/ソ連の解体と新しいヨーロッパの試み
2 統一後のコール期およびシラク=シュレーダー期
独仏による新しい外交の模索/NATO東方拡大、旧ユーゴ内戦と冷戦後ヨーロッパ安全保障秩序/シュレーダー赤緑連立政権の発足/EU東方拡大とヨーロッパ憲法をめぐる紛糾/ブレサイム・プロセスと関係改善/エリゼ条約締結四〇周年共同声明/「旧いヨーロッパ」対「新しいヨーロッパ」
3 非政府・市民社会領域での協力
青少年交流と教育分野での協力/トランスフロンタリエ―国境を跨いだ自治体協力の動き
第7章 メルケルの時代と変わる「ヨーロッパ」―ユーロ危機からウクライナ戦争へ
1 メルケル=サルコジ期
女性首相の登場/「メルコジ」と欧州憲法条約問題の解決/ユーロ危機/独仏のロシア政策
2 メルケル=オランド期
二人の難しい関係/ウクライナ危機と独仏仲介外交/難民危機、同時多発テロ、ブレグジット
3 マクロンの登場―アーヘン条約の成立とヨーロッパ再起動の追求
史上最年少の大統領/ソルボンヌ演説とマクロンによる「ヨーロッパ主権」論/アーヘン条約の成立/マクロン外交の展開/コロナ危機からメルケルの引退へ
終 章 ウクライナ戦争勃発後の独仏関係と未来への展望
あとがき
主要参考文献
関連略年表

書誌データ

  • 初版刊行日2024/9/19
  • 判型新書判
  • ページ数312ページ
  • 定価1188円(10%税込)
  • ISBNコードISBN978-4-12-102823-5

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・毎日新聞(朝刊)2024年12月14日/岩間陽子(政策研究大学院大学教授・国際政治)
・日本経済新聞(朝刊)2024年10月19日



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