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大学への挑戦
天野郁夫 著
日本の大学はどのような経過をたどって生まれたのだろうか。そのダイナミックな展開をつぶさに描く本書の下巻は、東京と京都の帝国大学との距離を縮めようとして、官立・私立ともに専門学校などの高等教育機関が充実してゆくありさまを見る。帝国大学はその数を増し、一方で、専門学校はそのなかに序列を生じていった。そしてついに、大正七年の大学令の成立により、現在につながる大学が誕生するのである。
2009/06/25 刊行

聴く型と趣味を語る言葉
岡田暁生 著
音楽の聴き方は、誰に言われるまでもなく全く自由だ。しかし、誰かからの影響や何らかの傾向なしに聴くこともまた不可能である。それならば、自分はどんな聴き方をしているのかについて自覚的になってみようというのが、本書の狙いである。聴き方の「型」を知り、自分の感じたことを言葉にしてみるだけで、どれほど世界が広がって見えることか。規則なき規則を考えるためにはどうすればよいかの道筋を示す。
2009/06/25 刊行

病院探偵水本玲
伊野上裕伸 著
医大の学長選を争う改革派の教授が突然倒れ、保守派の手によって手術を受けることに。しかし、手術中にトラブル発生。事故か、故意か。夫人からの依頼を受け、水本玲は大学病院に潜入。箝口令、行方不明の看護婦、正体不明の若い男。謎は次々と深まっていく。現代医療の暗部を抉る渾身の書き下ろし傑作!
2009/06/25 刊行

士魂の音色
森村誠一 著
剣に将来を託し、武市瑞山の命ずるままに暗殺剣を振るい続けた岡田以蔵の末路(「魔剣」)。武士の魂である刀を交換した友に、公卿誤殺の罪を負わせた酒井兵庫の苦悩(「魂無き暗殺者」)。時代に殉じ苛烈に生きた刺客たちの命運を刻む時代短篇集。全八篇。
2009/06/25 刊行

近江の巻
橋本治 著
天智の帝亡き後、大海人皇子は大友皇子との皇位継承をめぐる叔父甥の戦い──壬申の大乱──に勝利し、天武の帝となる。一方、鎌足公の嫡子、藤原不比等は、天武の帝の後を継いだ持統の帝の御世において新帝擁立に功を奏し、栄達の道を昇って行く。「皇統という鶯の巣に生みつけられる、藤原という杜鵑(ほととぎす)の卵。鶯の巣に孵って、生まれ出た杜鵑は、鶯の雛に代わって鶯となる。藤原の朝臣は、ただその日が来るのを待てばよい」。
2009/06/25 刊行

山妖奇伝
夏目翠 著
亡き兄の罪を背負わされ、虐げられてきた少女マユリ。村長から〈妖魔の民〉の里へ行けと命じられた彼女は迎えの中に兄を殺した者を見つけ……第4回CN大賞受賞後第一作、登場!
2009/06/25 刊行

ビザンツとスラヴ
井上浩一/栗生沢猛夫 著
ビザンツ帝国が千年の歴史を刻むことができたのはなぜか。東欧とロシアにおけるスラヴ民族の歩みと、紛争のもととなる複雑な地域性はどう形成されたのか。
2009/05/25 刊行

角田光代 著
谷島酒店の四女里々子には「ぴょん吉」と名付けた弟がいて……うとましいけれど憎めない、古ぼけてるから懐かしい家族の日々を温かに描く長篇小説。
2009/05/25 刊行

帝国大学の時代
天野郁夫 著
日本の大学はどのような経過をたどって生まれたのだろうか。本書は、その黎明期のダイナミックな展開を二巻にわたって、つぶさに描くものである。上巻では、明治一〇年の「東京大学」の設立と一九年の帝国大学誕生の成立から説き起こす。その後、帝国大学が自己変革していくさまと、帝国大学に対するかのように生まれる官立・私立の専門学校の隆盛へと物語は進んでゆく。人と組織が織りなす、手に汗握るドラマ。
2009/05/25 刊行

自由と平等の視点から
猪木武徳 著
第二次大戦後の世界は、かつてない急激な変化を経験した。この六〇年を考える際、民主制と市場経済が重要なキーワードとなることは誰もが認めるところであろう。本書では、「市場化」を軸にこの半世紀を概観する。経済の政治化、グローバリゼーションの進行、所得分配の変容、世界的な統治機構の関与、そして「自由」と「平等」の相剋――市場システムがもたらした歴史的変化の本質とは何かを明らかにする。
2009/05/25 刊行

岸本葉子 著
腹筋、足の裏、皮膚、耳、爪、顎…。パーツ一つひとつに耳を澄ませてみると、何かが教えてくれる、応えてくれる。大病を体験した著者が、体の部位にまつわる俗説や言い回しと、日常のトラブルを織り交ぜながら、カラダとココロの悲喜こもごもを語る異色エッセイ。文庫版あとがきにかえて、悩まされた虫垂について仇を討たず、穏やかに振り返る。
2009/05/25 刊行

権力に憑かれた亡者たち
奥島貞雄 著
五〇年以上にわたって日本の政治を担い続けてきた自民党。その歴史は総裁選をはじめとする激しい権力闘争の連続でもあった。元自民党幹事長室室長が目撃した、権謀術数が渦巻き、信じられないようなドラマも展開された、時の実力者たちの「抗争」を臨場感豊かにつづる。『自民党総裁選』を改題
2009/05/25 刊行

養老孟司 著
虫も人も実にさまざまで、日本は狭いようで広く、明日の世界を予想することも困難だから「ああすればこうなる」式の思考では具合が悪い。イラク派兵、靖国問題、安全神話の崩壊など、世間と世界を騒がせた話題の出来事を養老孟司が定点観測。
2009/05/25 刊行

飛鳥の巻(承前)
橋本治 著
稲目以来、馬子、蝦夷、入鹿と大臣の地位を伝え、御世に権勢をふるう蘇我の嫡流。大臣入鹿の山背大兄王殺害を機に、蘇我の動きを危ぶむ中臣鎌子は、中大兄皇子との連繋を図る。国を憂え、打倒蘇我で結ばれた藤原氏の祖・鎌足公と若き日の天智天皇の欅の大樹の下の出合い──「川はある。水はある。山はある。緑はある。しかしまだこの国に、たった一つ国はない」。かくして六四五年六月の十二日、蘇我入鹿は、刃に斃れる。
2009/05/25 刊行

高橋義夫 著
義による私闘を咎められ、勘当同然に山深き温泉の湯守となった新庄藩士・花輪大八。その肘折の湯に不思議な女の一群が現れた。率いるのは奇怪な技を使う医師。それを機に、鄙びた湯町を二分し新庄城下をも巻き込む騒動が引き起こされる。一方、大八には見合い話が持ち込まれ……。大八、女に惑う!?
2009/05/25 刊行