2022 03/02
特別企画

「#新書で英語学習」フェアに寄せて/田中健一

ジュンク堂書店三宮店さんTwitterより(@junku_sannomiya)

3月から全国書店でスタートした、岩波書店・講談社・筑摩書房・中央公論新社の4社合同「#新書で英語学習」フェア。英語学習の達人である読書猿さん、田中健一さん、北村一真さんの3名に、選りすぐりの名著を選んでいただきました。
ここでは、フェア実現のきっかけをつくってくださった田中健一さんのメッセージを掲載。フェア実現の経緯や狙い、学習の次のステップなどが綴られています。

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今回の4社合同による「#新書で英語学習」フェアは、私が軽い気持ちでTwitterに投稿したつぶやきが、読書猿さん――『独学大全』(ダイヤモンド社)の著者であり、令和の「勉強ブーム」の立役者――の目に留まり、引用リツイートされたところから始まりました。

SNSには良い面も悪い面もありますが、今回のように私たち読者の声が出版社に直接届くようになったのは大変素晴らしいことで、本当にうれしく思います。思えば『伝わる英語表現法』(岩波新書)の復刊も、Twitterがきっかけでした(この経緯に関心をお持ちの方は、『B面の岩波新書』掲載の記事「知る人ぞ知る名著『伝わる英語表現法』」をご一読ください )。

ところで、新書のお値段について皆さんはどう思われますか。私は「えっ? こんなに安くていいの?」と驚いてしまうことが多いです。内容からすれば数千円でもしそうな良書を数百円から千円そこそこで入手できる、「新書」という日本の出版業界特有のフォーマットのあり方には、どれだけ感謝しても感謝しきれません。このように、安価で手に取りやすいという面が、「#新書で英語学習」をおすすめする第一の理由です。

新書はポケットサイズであることも重要です。どこにでも連れていって、気になったときにいつでもひもとく。少し読み進めてはいったん閉じて、頭の中で反芻する。そして再び著者との「マンツーマンレッスン」に戻る。こまめに学習できるところも「#新書で英語学習」の優れたところです。

もうひとつ、「#新書で英語学習」の魅力として、執筆陣に語学研究や通訳、翻訳などの第一人者が名を連ねている点も挙げられます。教材選びは本当に大切です。著者の学問的蓄積や経験に裏打ちされた確かな内容を学ぶことによって、学習効果は何倍にも高まります。一級品の「教材」たりうる新書を紹介したいという思いが、今回のフェアを提唱した最大の理由です。

今回の選書は、『英語の読み方』 (中公新書)の北村一真先生、『独学大全』の読書猿さん、そして私の3名が担当しました。選書の中身はぜひ店頭でお確かめいただければと思います。もちろん、我々が今回紹介している以外にも「#新書で英語学習」に適した名著はたくさんあります。マーク・ピーターセン『日本人の英語』シリーズ(岩波新書)は「鉄板」ですし、最近のものだと、鴻巣友季子『翻訳ってなんだろう?』(ちくまプリマ―新書)も面白いです。西村義樹・野矢茂樹『言語学の教室』 (中公新書)も、英語学習を通じて言語そのものに興味を持った人におすすめです(英語の話題もたくさん出てきます)。

ぜひ、皆さんが実践する「#新書で英語学習」のことも教えてください。このハッシュタグを使ってSNSで発信してください。「この本を買った」「今日はここまで読んだ」「このことは知らなかった」「この発想はなかった」など、簡単なことで構いません。全国に「#新書で英語学習」をしている仲間がいることが可視化されて、モチベーションが高まることもあるでしょうし、新たな新書との出会いの機会も増えるでしょう。

そしてゆくゆくは、「#新書で国語学習」「#新書で歴史学習」「#新書で数学学習」「#新書で物理学習」など、新書による学び直しのムーブメントがいっそう盛り上がっていく展開を期待しています。

田中健一(たなか・けんいち)

1976年愛知県生まれ。英語講師。著書に『英文法基礎10題ドリル』『英文法入門10題ドリル』『英文読解入門10題ドリル』(いずれも駿台文庫)など。