2021 05/31
中公新書の60年

1979年の中公新書

対象喪失 悲しむということ肉親との死別・愛の喪失・転勤・浪人等々、日ごろ馴れ親しんだ対象を失ったとき、その悲しみをどう耐えるかは、人間にとって永遠の課題である。ところが現代社会はいつのまにか、悲しむことを精神生活から排除してしまい、モラトリアム人間の時代を迎えて「悲しみを知らない世代」が誕生し、いたずらに困惑し、絶望にうちひしがれている。本書は具体例によって悲哀の心理過程と悲哀の意味を説き、自立することへの関係に及ぶ。

小此木啓吾(おこのぎ・けいご)1930-2003。精神医学者、精神科医。慶應義塾大学教授、東京国際大学教授などを歴任

この年のできごと1月 国公立大学共通1次試験、初の実施
2月 ホメイニ師指導のもと、イラン革命が成立
3月 米スリーマイル島原発で放射能漏れ事故が発生
5月 英選挙で保守党が圧勝。サッチャー党首が首相に就任
7月 ソニー、「ウォークマン」を発売
10月 『3年B組金八先生』初回放送


この年のラインナップ吉仲正和著『力学的世界の創造』
若林喜三郎著『加賀騒動』
高橋康也/樺山紘一著『シェイクスピア時代』
河合秀和著『チャーチル』
小沢俊夫著『世界の民話』
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平田寛著『科学の考古学』
徳川宗賢編『日本の方言地図』
布施昌一著『医師の歴史』
岡本康雄著『日立と松下(上)』
松岡英夫著『大久保一翁』
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菊森英夫著『文芸サロン』
岡本康雄著『日立と松下(下)』
斎藤次郎著『子どもを見直す』
小林善彦著『パリ日本館だより』
大河内一男著『暗い谷間の自伝』
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杉浦昭典著『大帆船時代』
米山俊直著『天神祭』
林盈六著『力士を診る』
池田徳眞著『日の丸アワー』
加藤辿著『資源からの発想』
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山田照夫著『空とぶカメラマン』
上田豊著『残照のヤルン・カン』
矢野暢著『日本の南洋史観』
種村直樹著『時刻表の旅』
テツオ・ナジタ著/坂野潤治訳『明治維新の遺産』
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加藤雅彦著『ユーゴスラヴィア』
吉川公雄著『サバ紀行』
伏見康治/安野光雅/中村義作著『美の幾何学』
守屋毅著『京の芸能』
上田篤著『くるまは弱者のもの』
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小此木啓吾著『対象喪失』
小松英雄著『いろはうた』
岡田英弘著『康熙帝の手紙の手紙』
祖父江孝男著『文化人類学入門』
毛利敏彦著『明治六年政変』
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長谷川堯著『建築旅愁』