2017 01/05
私の好きな中公新書3冊

新(書)三種の神器/吉川浩満

川喜田二郎『発想法 創造性開発のために』
野口悠紀雄『「超」整理法 情報検索と発想の新システム』
木下是雄『理科系の作文技術』

巷で猖獗を極める「創造性開発」「仕事効率化」関連書の源流に位置する3冊。たぶん中公新書でぜんぶ間に合います。

学生時代に教えられた『発想法』は衝撃的でした。まずなによりもカード操作によるアイデア構築のスマートさに魅了されました。いつかは映画『マイノリティ・リポート』でのトム・クルーズのようにカードを操ってみたい。しかしいまだ叶わず、Evernoteなどのアプリで我慢しています。

その後に出会ったのが『「超」整理法』。内容ではなく時間を軸とした押出しファイリングの手法は、現代のコンピュータ環境での資料整理においても威力を発揮します。その考え方は前述の『発想法』と対立するかもしれない部分もあり、ちょっと注意が必要ではありますが、自分なりに最適解を見つけたいところです。

物書きになって初めて読んだ『理科系の作文技術』は、もっと早くに読んでおけばよかったと後悔するくらい有益でした。文章を書くという作業には、文字どおり書く以前にもいろんな工程がある。この当たり前のことを当たり前に教えてくれる本です。論文や書籍だけでなく、ビジネスメールやプレゼン資料を作成する際にも役に立つはずです。 理科系といわず文科系も必読。

もはや好きというどころではない。たとえ落ち込んでいるときでも、どこか好きな頁をめくるだけで、なんだかやれそうな気になる。ほとんど自己啓発的でさえある3冊です。

吉川浩満(よしかわ・ひろみつ)

文筆家。1972年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業後、国書刊行会、ヤフーを経て、現職。著書に『理不尽な進化』(朝日出版社)、共著に『脳がわかれば心がわかるか』(太田出版)、『問題がモンダイなのだ』(ちくまプリマー新書)。訳書にジョン・R・サール『MiND』(朝日出版社)など。