ホーム > 単行本 > 『細雪』とその時代
川本三郎 著
その美しさ、たおやかさ。谷崎によってしか、あの時代の「女の世界」は描けなかった――。ほぼ同時代に書かれた永井荷風の『?東綺譚』と時に対比させながら、阪神間を舞台としつつも、大阪の男の世界から離れた女性たちの物語として、『細雪』の世界を訪ね歩き、註をつけるように読んでいく。『荷風と東京』『林芙美子の昭和』などに続いて、昭和十年代の風景が練達の筆に甦る。